岡部嘉幸(2002.10)「江戸語におけるソウダとヨウダ:推定表現の場合を中心に」『国語と国文学』79(10)
要点
- 注目すべき点として、
- Ⅰのヨウダに原因推定がなく、Ⅱにも稀で、逆に、Ⅰの終止ソウダには原因推定がある
- (水が流れるのを見て)たれかどびんをうちこかいたそふな(膝栗毛)
- 様態②(話題の人物の現状、「あの人は大分元気が出たようだ」)はヨウダにあり、終止ソウダにはない、など
- Ⅰのヨウダに原因推定がなく、Ⅱにも稀で、逆に、Ⅰの終止ソウダには原因推定がある
- ヨウダの基本的意味は「話し手の印象では現状(X)が事態(Y)に見える」として規定できる
- ヨウダに原因推定がない(少ない)のは、原因推定が時間的先後関係を持ち、現状認識とは距離があるため
- 一方で、終止ソウダは原因推定の用法を持つので、ヨウダがそこまで受け持つ必要がなかった
- 終止ソウダは「事態内容を経験的に把握できない」ことを提示する(岡部2000)もので、諸用法もそこから説明できる
- が、ソウダはその後伝聞専用形式になるので、ヨウダがそこに拡張したと考える
- 一方で、終止ソウダは原因推定の用法を持つので、ヨウダがそこまで受け持つ必要がなかった
雑記
- トイレットペーパー、トレペって略します?(トレーシングペーパーみたいじゃない?)