山本淳(1996.12)「古今集」俗言解に見える主格表示:『遠鏡』『鄙言』間の訳出の差異から
山本淳(1996.12)「「古今集」俗言解に見える主格表示:『遠鏡』『鄙言』間の訳出の差異から」『米沢国語国文』25
要点
- 山本(1996)の続き
- 遠鏡と鄙言の格表示を比べると、特に連体修飾のノの訳出に差異がある
- 遠鏡はノ>ガ
- 鄙言はガ・ノが拮抗
- 同時代の他の資料群と、ガ・ノ・φの使用率を比較すると、
- 遠鏡は例言に、女性の京言葉から卑俗な言葉を除いた言葉で訳出する旨の方針があり、鄙言もそれに準ずるはずであるが、訳出の差異は「個々の文体の嗜好に求めるより外にはもはや考えがたい」
- 鄙言の方がむしろ日常談話に近い主格表示であるが、これは遠鏡ほど周到な訳出手段を用意していなかったことと、
- 遠鏡が鑑賞に堪える解釈をするためにノを活かしたことが考えられる
雑記
- 自己評価シート的なやつに学部長へのメッセージみたいな欄があったので、「これを機に会議で報告事項を読み上げるのをやめましょう」て書いた