ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

大江元貴(2017.12)間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して

大江元貴(2017.12)「間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して」

pragmatics.gr.jp

要点

  • 間投助詞と終助詞の違いと、間投助詞の位置付けについて考えたい
    • 近年は終助詞と間投助詞の区別を認めない立場が優勢である
    • 共通性は認識されているが、終助詞と間投助詞との差異についてはあまり議論されていない
  • 終助詞と間投助詞には以下の差異がある
    • 統語的地位:??勉強をしなかったネから、/勉強をネしなかったから、→間投助詞は節の従属度の制約を受けない
    • 任意性:「終助詞がないと不自然」な文脈があるが、間投助詞にはない
    • 相互作用性:間投助詞は終助詞に比して、相互的なやりとりが必要(独り言で「やっぱりラーメンは??ネ、うまいネエ」)
    • 人物像:終助詞サは男性像と結びつくが、間投助詞は関わらないなど、語用的特徴が異なる
  • 間投助詞は、ネ・ナ・ノとサ・ヨで大きく分けられる可能性がある
    • 情報提供では差がないが、情報要求と同意要求ではネ・ナ・ノがサ、ヨよりも不自然になりやすい
    • 「ええと」で「心的処理にかかりきりになっている」場合、サ・ヨは不自然になる

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p.99

雑記

  • 「節末助詞」を立てて、文末でしか担えないタイプの用法を記述する方がすっきりしそう