ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

現代

瀬楽亨(2019.11)機能的談話文法における日本語の文法記述に向けて

瀬楽亨(2019.11)「機能的談話文法における日本語の文法記述に向けて」『日本語文學 (Journal of the Society of Japanese Language and Literature, Japanology)』87 要点 機能的談話文法(FDG)の日本語への適用を考える FDGのコミュニケーションモデルは…

衣畑智秀(2005.4)日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に

衣畑智秀(2005.4)「日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に」『日本語科学』17 要点 ノニ・ケド・テモを適切に記述するための枠組みを考えたい 従来説はノニの「予想」とケド・テモの「予想」の差異を説明し得ない 以下の概念を導…

衣畑智秀(2001.12)いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化

衣畑智秀(2001.12)「いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化」『待兼山論叢 文学篇』35 要点 ノニとケドの差異2点に対する説明は「逆接」のカテゴリーでは十分に行えない 違和感・意外感 後件が既実現:雪が降っている{けど/*のに}…

堀川智也(1994.11)文の階層構造を考えることの意味

堀川智也(1994.11)「文の階層構造を考えることの意味」『日本語・日本文化研究』4 要点 南のA~Dの分類は混質的で、各類の要素も「本質的な同質性を持ってまとまっているのではない」 従属節の従属度を本質的に考えるため、A類のテとナガラについて考える …

松田真希子(2000.11)ナガラ節の状態修飾性をめぐって

松田真希子(2000.11)「ナガラ節の状態修飾性をめぐって」『日本語・日本文化研究』10 要点 ナガラ節の用法について、 従来「付帯状況」とされてきたナガラ節に付帯と並立が存する 付帯:ボールを走りながら取った 並立:音楽学校に通いながら個人レッスン…

森山卓郎(2013.6)因果関係の複文と意志的制御

森山卓郎(2013.6)「因果関係の複文と意志的制御」『国文学研究』170 要点 因果が成り立っていても不自然な場合があることを手がかりに、因果関係と意志の関係について考える 1 *私は、砂糖を減らした{ので・から}クッキーをあっさりと仕上げた。 2 私は…

笹井香(2006.1)現代語の感動文の構造:「なんと」型感動文の構造をめぐって

笹井香(2006.1)「現代語の感動文の構造:「なんと」型感動文の構造をめぐって」『日本語の研究』2(1) 要点 これまでの感動文の研究の中心はいわゆる感動喚体句(「きれいな花!」以下A型)であり、「なんと~だろう」型(以下B型)は周辺的位置づけであっ…

澤田淳・澤田治(2020.3)「NPのことだ(から)」の因果的推論の方向性

澤田淳・澤田治(2020.3)「「NPのことだ(から)」の因果的推論の方向性」『日本語文法』20(1) 要点 「NPのことだ(から)」は後続命題を推論する用法を持つ 太郎のこと{だ。/だから、}この時期忙しいだろう。 絵が上手な太郎{だ/??のことだから}これ…

井上直美(2020.4)「彼は笑ってみせた。」は何を見せたか:書きことばの「てみせた。」の意味機能に注目して

井上直美(2020.4)「「彼は笑ってみせた。」は何を見せたか:書きことばの「てみせた。」の意味機能に注目して」『日本語の研究』16(1) 要点 テミセタを補助動詞として認め、文末の「てみせた。」の主語の人称、共起動詞、何を見せたかに注目し、その多義性…

大江元貴(2017.12)間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して

大江元貴(2017.12)「間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して」 pragmatics.gr.jp 要点 間投助詞と終助詞の違いと、間投助詞の位置付けについて考えたい 近年は終助詞と間投助詞の区別を認めない立場が優勢である 共通性は認識されているが、…

吉井健(2015.11)現代語の「~かねる」覚書

吉井健(2015.11)「現代語の「~かねる」覚書」『日本言語文化研究』20 要点 現代語で不可能を表すカネルの前接動詞を考える 前接動詞は、判断・認識に関わる動詞が多く、 A1 判断するなどの認識・判断 A2 賛成するなどの相手の意に添う意 B 発話動詞 言う、…

榎原実香(2018.9)文の階層構造からみたモの周辺的用法の分類

榎原実香(2018.9)「文の階層構造からみたモの周辺的用法の分類」『日本語文法』18-2 要点 周辺的なモの統語論的位置付け 周辺的なモ 基本的なモ 太郎は大学生です。わたしも大学生です。 大学生={わたし、太郎、花子} 累加性の見られない、周辺的なモ …

尾上圭介(1983.10)不定語の語性と用法

尾上圭介(1983.10)「不定語の語性と用法」渡辺実編『副用語の研究』明治書院 前提 不定語の語性に「(その物なら物、人なら人、数なら数の)内容が不明、不定であること」という不明性・不定性を求める 「だれか」「なにか」のような不定称者指示を「不定…

森山卓郎(2017.11)意志性の諸相と「ておく」「てみる」

森山卓郎(2017.11)「意志性の諸相と「ておく」「てみる」」森山卓郎・三宅知宏編『語彙論的統語論の新展開』くろしお出版 要点 「意志性」の語彙的意味について、事態のあり方に応じた整理を提示し、 無意志的事態とテオク・テミルとの結びつきについて、…

三宅知宏(2015.11)日本語の「補助動詞」と「文法化」・「構文」

三宅知宏(2015.11)「日本語の「補助動詞」と「文法化」・「構文」」秋元実治・青木博史・前田満『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 三宅(2015)の続き 特に構文スキーマの観点による、補助動詞の分析の有効性を示す 前提 前稿では補助動詞の分析…

三宅知宏(2015.3)日本語の「補助動詞」について

三宅知宏(2015.3)「日本語の「補助動詞」について」『鶴見日本文学』19 要点 補助動詞として呼ぶべきカテゴリーを明確にし、 補助動詞の分析に「文法化」と「構文」の観点が有効であることを示す 前提 V1テV2の後項を指して「補助動詞」とする いわゆる複…

藤田保幸(2017.3)複合辞であることを支える共時的条件:動詞句由来の複合辞を中心に

藤田保幸(2017.3)「複合辞であることを支える共時的条件:動詞句由来の複合辞を中心に」『龍谷大学グローバル教育推進センター研究年報』26 要点 通時的視点ではない、「複合辞が複合辞であることの根拠付け」を考える 前提 複合辞が複合辞であることは通…

野田尚史(2015.4)文の階層構造から見た現代日本語の接続表現

野田尚史(2015.4)「文の階層構造から見た現代日本語の接続表現」『国語と国文学』92-4 要点 接続表現の、文の階層構造の中の位置付けを考える 前提 南モデルを発展させた野田に基づく、述語語幹~対人的ムードまでの階層 述語語幹・ヴォイス・アスペクト・…

天野みどり(2017.11)受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ

天野みどり(2017.11)「受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ」天野みどり・早瀬尚子『構文の意味と拡がり』くろしお出版 要点 恩恵のテモラウがテモラワナイトの形で行為要求を表すことについて、構文の観点から考察 # テモラワナイト - 言い…

張又華(2013.3)「テシマウ」構文における話者の感情・評価的意味について

張又華(2013.3)「「テシマウ」構文における話者の感情・評価的意味について」児玉一宏・小山哲春編『言語の創発と身体性』ひつじ書房 要点 テシマウのアスペクト的意味と話者の感情・評価的意味を、連続性のある構文として捉える この意味は、話者の意志性…

ハイコ・ナロク(1998.10)日本語動詞の活用体系

ハイコ・ナロク(1998.10)「日本語動詞の活用体系」『日本語科学』4 要点 特定の理論に拠らず、検証可能な枠組みで動詞の活用・派生体系を分析 活用・派生の中心的要素が活用語尾と、活用語~であることを示す 活用語尾と派生接尾辞 まず、活用語尾と派生接尾…

衣畑智秀(2012.1)日本語における話者指向性

衣畑智秀(2012.1)「日本語における話者指向性」『福岡大学日本語日本文学』21 要点 金田一(1953)の「主観的表現」が示す「話者のその時の」という性質を「話者志向性」と呼び、 話者志向性が種々の文法カテゴリに見られることを示す hjl.hatenablog.com …

江口匠(2016.3)〈逆接〉を表す「て」をめぐって

江口匠(2016.3)「〈逆接〉を表す「て」をめぐって」『人文』14 要点 逆接の「て」が現れる構文条件について 自分でいって、わすれるやつがあるか。 あんな事故にあって助かったのですか。本当に運がいい人だ。 これまでの指摘と枠組み 前提的に予測される…

大堀壽夫(2012.11)文の階層性と接続構造の理論

大堀壽夫(2012.11)「文の階層性と接続構造の理論」『国語と国文学』89-11 要点 南モデルに、RRG(Role and Reference Grammar)の理論を導入し、南モデルの現代的意義を検討する RRG RRG*1は、文の構造を3つの層からなるものと考える 内核(nucleus)、中…

尾上圭介(2012.3)不変化助動詞とは何か:叙法論と主観表現要素論の分岐点

尾上圭介(2012.3)「不変化助動詞とは何か:叙法論と主観表現要素論の分岐点」『国語と国文学』89-3 hjl.hatenablog.com 要点 現代のモダリティ論は非現実形式としてのモダリティ(A説)と話者の主観表現としてのモダリティ(B説)に分かれ、金田一の不変化…

金田一春彦(1953)不変化助動詞の本質:主観的表現と客観的表現の別について

このあたりを読む 金田一春彦(1953)「不変化助動詞の本質:主観的表現と客観的表現の別について」『国語国文』22-2, 3 金田一春彦(1953)「不変化助動詞の本質、再論:時枝博士・水谷氏両家に答えて」『国語国文』22-9 尾上圭介(2012.3)「不変化助動詞…

島田泰子(2018.3)副詞〈なんなら〉の新用法:なんなら論文一本書けるくらい違う

島田泰子(2018.3)「副詞〈なんなら〉の新用法:なんなら論文一本書けるくらい違う」『二松學舍大学論集』61 要点 タイトルまんま、現代における「なんなら」の新用法の発達に関して 従来の「なんなら」 日国に立項されるのは、以下の2種 (1)相手の意志・希…

永澤済(2016.9)判決における漢語動詞の特殊用法:「XとYとを離婚する」をめぐって

永澤済(2016.9)「判決における漢語動詞の特殊用法:「XとYとを離婚する」をめぐって」『言語文化論集(名古屋大学大学院国際言語文化研究科)』38-1 doi.org 要点 民事判決に見られる「離婚する」の特殊な格支配について 原告と被告とを離婚する XとYとを…

竹内史郎・岡﨑友子(2018.1)日本語接続詞の捉え方:ソレデ,ソシテ,ソレガ,ソレヲ,ソコデについて

竹内史郎・岡﨑友子(2018.1)「日本語接続詞の捉え方:ソレデ,ソシテ,ソレガ,ソレヲ,ソコデについて」『国立国語研究所論集』14 doi.org 要点 指示詞を含む接続詞に関して、照応関係のあり方と統語環境からの整理を試みるもの 田村(2005)*1 モーダル…

大塚望(2004.7)「たい」と「たがる」:主語の人称を中心として

大塚望(2004.7)「「たい」と「たがる」:主語の人称を中心として」『新潟大学国語国文学会誌』46 要点 「たい」は一人称、「たがる」は三人称という主語の人称制限があるとされるが、実態は異なるので記述し直す これまでの「人称制限」の原則と反例 「た…