ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

井上直美(2020.4)「彼は笑ってみせた。」は何を見せたか:書きことばの「てみせた。」の意味機能に注目して

井上直美(2020.4)「「彼は笑ってみせた。」は何を見せたか:書きことばの「てみせた。」の意味機能に注目して」『日本語の研究』16(1)

要点

  • テミセタを補助動詞として認め、文末の「てみせた。」の主語の人称、共起動詞、何を見せたかに注目し、その多義性を説明する
  • 前接動詞は自動詞・再帰動詞が多いが、する、広げる、出すなどの他動詞も見られる
  • 人称は9割以上が三人称
  • 「見せた」ものは、以下の5種類に区分され、
    • A モノ:地図を広げて見せた
    • B1a 実技:ボールを蹴ってみせた
    • B1b 身振り・態度:首を傾げてみせた
    • B1c 作り様態:驚いてみせた
    • B2 結果:試験に合格してみせた
  • このうち、モノ・実技は主語の人称による事態の違いはないが、
  • 身振り~結果においては、違いがあり、
    • 三人称主語文は「観察者視点で「動作者が他者に認知させるためにVした」と捉えることを有標的に示す」という意味を持つ
    • 一人称主語文は「動作主が他者に認知させるためにVしたことを有標的に示す」意味を持つ
  • A~B2にかけて、段階的な意味の漂白化が確認できる

雑記

  • 学生普通に集まってるし就活で移動もしてるし生協で講座も受けている 意味ね~