岩田幸昌(1990.2)源氏物語の接続助詞「つつ」をめぐって
岩田幸昌(1990.2)「源氏物語の接続助詞「つつ」をめぐって」『金沢大学国語国文』15
要点
- ツツの意味には以下の2点が認められる
- 2つの状態が同時にあること
- 動作の反復・継続
- すなわち、ツツの意味は、「動作の、反復・継続・複数を表しながら、その動作が、後句の表すことがらと同時に行われることを示す」とまとめられる
- ツツ句がどのような語にかかるのかという観点からは、以下の4種に分類できる
- A 動詞でまとまる句で、主語は同じ
- B 形容詞・形容動詞・名詞ナリでまとまる句で、主語は同じ
- 息も絶えつゝ、聞えまほしげなりる事はありげなれど、いと苦しげにたゆげなれば、(桐壺)
- 現代語のツツが動詞句にかかるのとは異なる
- C 主語が異なる
- (源氏は)大殿には、絶間置きつゝ、(葵は)うらめしくのみ思ひ聞え給へり。(夕顔)
- 此島「源氏物語の助詞」はこのツツを終助詞的に捉えるが、承服し難い
- D ツツ留
- すなわち、かかり先には特定の品詞を要求せず、前件と後件の同時性を示すだけで、「ことさらに意味をつけ加えない」
- ここから、時間的に戦後関係にあるもの、因果関係にあるもの、同時性、動詞の修飾などの意味を負い得るが、これはテに極めて近い
雑記
- 後期は前期みたいになあなあでやってちゃいけないんだろうなあと思うけど、もう体力ないですよね