ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

柚木靖史(2020.2)角筆文献資料から安芸・備後地方の近世方言を探る:広島県立文書館蔵の角筆文献調査(二〇一四年-二〇一六年)

柚木靖史(2020.2)「角筆文献資料から安芸・備後地方の近世方言を探る:広島県立文書館蔵の角筆文献調査(二〇一四年-二〇一六年)」『広島女学院大学論集』67

要点

  • 広島の郷土資料の角筆を見ることで、近世の安芸・備後地方の口頭語の実態を考えたい
    • (10ページほど書誌)
  • 音韻的に、以下のような特徴がある
    • 開長音を合長音にした例が多い
    • シュの直音化(祝 シク)
    • 長音の短呼化
    • 合拗音の直音表記
      • ただし、江戸時代中期の書き入れは合拗音を保つ
    • 四つ仮名(広島では明治には既に合流)については、江戸時代中期のものに乱れが見られる
    • 短音の長音化(儒術 ジウジユツ)
    • 促音の脱落(謁シ エシ)

雑記

  • 学部の演習科目で角筆文献調査、えっ楽しそう…て思うけど、果たして学生に分かるのか…とも思う