ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

音韻史

柚木靖史(2020.2)角筆文献資料から安芸・備後地方の近世方言を探る:広島県立文書館蔵の角筆文献調査(二〇一四年-二〇一六年)

柚木靖史(2020.2)「角筆文献資料から安芸・備後地方の近世方言を探る:広島県立文書館蔵の角筆文献調査(二〇一四年-二〇一六年)」『広島女学院大学論集』67 要点 広島の郷土資料の角筆を見ることで、近世の安芸・備後地方の口頭語の実態を考えたい (10…

柳田征司(2007.10)上代日本語の母音連続

柳田征司(2007.10)「上代日本語の母音連続」『国学院雑誌』108(11) 前提 母音連続に関する以下の諸問題について考える なぜ脱落や転成が起こったか なぜ全ての母音連続には起こらなかったか 平安時代以降それが起きなくなるだけでなく、イ音便が定着するの…

安田尚道(2003.4)石塚龍麿と橋本進吉:上代特殊仮名遣の研究史を再検討する

安田尚道(2003.4)「石塚龍麿と橋本進吉:上代特殊仮名遣の研究史を再検討する」『国語学』54(2) 要点 橋本進吉は上代特殊仮名遣を「再発見」してはいないし、 石塚龍麿も既に音韻の区別であったと考えていたのではないか 前提 上代特殊仮名遣の発見につい…

肥爪周二(2018.11)上代語における文節境界の濁音化

肥爪周二(2018.11)「上代語における文節境界の濁音化」沖森卓也編『歴史言語学の射程』三省堂 前提 連濁(以下、清音の濁音化)は融合、促音挿入は分割というイメージがあるが、以下のような語例を見ると、どちらも複合語で、形態素の結合度に差はない み…

高山知明(2009.3)タ行ダ行破擦音化の音韻論的特質

高山知明(2009.3)「タ行ダ行破擦音化の音韻論的特質」『金沢大学国語国文』34 要点 「四つ仮名合流の前段階」とされるタ行のチ・ツの破擦音化[ti]>[tʃi], [tu]>[tsu] *1について 問題点 おおむね16世紀以降まで、タ行はチ・ツも破裂音[ti][tu]であったが、…

石山裕慈(2018.10)「漢字音の一元化」の歴史

石山裕慈(2018.10)「「漢字音の一元化」の歴史」『国語と国文学』95-10 要点 日本漢字音の呉音・漢音などからなる複層性の区別が、明治以降に薄れていくことについて 明治以降に屋名池(2005)*1があるが、それ以前にも「一元化」の文脈に位置付けられるも…

神戸和昭(2017.7)『浮世風呂』における「せ゜」「そ゜」をめぐる問題 : 江戸語研究の「常識」と「誤解」

神戸和昭(2017.7)「『浮世風呂』における「せ゜」「そ゜」をめぐる問題 : 江戸語研究の「常識」と「誤解」」『語文論叢(千葉大学)』32 要点 江戸期版本において「さ゜」が/tsa/を写すのと同様に、「せ゜」「そ゜」が/tse/, /tso/とされることがある(旧…