富岡宏太(2017.10)「中古和文の助詞カシ」『日本語の研究』13(4)
要点
- よく分からないカシの意味を、中古和文を対象に考える
- カシに対人性のある例とない例とがあるのはなぜか。
- 確認や弱めなどをカシが担うのはなぜか。
- カシの意味は、事態めあてのモダリティと同じ次元にあるのか。
- カシ上接句の特徴は、事実や根拠を他者と共有できない(発話者の個人的な考え)、「非共有事項」を表すものに限られる
- 発話者の想像、記憶、評価、意向の4種
- カシは「自らの見解と異なる他の可能性を認めるような発話態度を取る」という、「擬似的不定化」の意味を担う
- またうち返し見まさりするやうもありかし(末摘花)を、
- 「見まさりのするようなこともあるよ」と訳すと不自然で、新全集は「見まさりのするようなことがないとも限らない」と訳す
- 上接助動詞の終止形終止との差異は以下の通りで、
- ム・ラム・ケム・ジは高い:非現実領域と事実や根拠の非共有は相性がよい
- ベシ・終止ナリは少ない:自らの見解と異なる可能性を話者が考慮しない
- メリは例外的に多いが、婉曲の例が多いというだけ
- 過去・完了の助動詞は共有事項を表せるので、基本的にカシの例は少ない
- キのみは、発話者の記憶・体験に依存しやすいのでキカシが多く見られる
- 助動詞以外の場合も擬似的不定化によって説明可能
- 係り結び+カシ、ゾカシ、命令形カシ
雑記
- fbのコミュニティ、情報が濫立して正直よく分からん fbというSNSがああいうことに向いてない気がする