佐藤順彦(2009.3)前期上方語のノデアロウ・モノデアロウ・デアロウ
佐藤順彦(2009.3)「前期上方語のノデアロウ・モノデアロウ・デアロウ」『日本語文法』9(1).
要点
- 前期上方語で未発達であったノデアロウの機能を、モノデアロウ・デアロウが担っていたことを主張する
- 現代語のノダロウの機能は事情推量であり、
- 前期上方語のノデアロウは数が少なく、いずれの例も代名詞的なノであって、ノダの推量形としてのノデアロウは成立していなかった
- さだめてこれが、侍衆のとらせらるゝ二人扶持といふのであらふといふた。(当世軽口咄揃)
- 一方、ノジャには(語用論的な)事情推量の例があり、過渡的である
- それがきいて。せくのじや[薬が効いて咳き込んでいるんだ](本朝廿四孝)
- 事情推量を表す形式としては、モノデアロウが事情推量専用で使われ、モノジャも(語用論的な)事情推量の例がある
- 前期上方語のデアロウは、後期江戸語のダロウ同様、事情推量を表す用法を持つ
雑記
- 準体のこと考えるときに、モノ系形式のことをもっと考えたい