ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

堀川智也(1994.11)文の階層構造を考えることの意味

堀川智也(1994.11)「文の階層構造を考えることの意味」『日本語・日本文化研究』4

要点

  • 南のA~Dの分類は混質的で、各類の要素も「本質的な同質性を持ってまとまっているのではない」
  • 従属節の従属度を本質的に考えるため、A類のテとナガラについて考える
  • 独立性の観点から、テ1は次の2種に分けられる
    • [甲]完全に従属:
      • 1 主節動詞の属性修飾:走って帰る
      • 2 主節動詞の意味内容の修飾限定:すすんで塾に行く
    • [乙]主節と分離可能で、様態を表す
      • 1 継続的な動作:音を立てて燃えている
      • 2 主体変化(再帰的):サングラスをかけて運転する
    • 甲は実質的には動詞性を失って、形容詞的・状態副詞的に使われているが、乙は動詞性を完全には失っていない(従属度が相対的に低い)
  • このことを踏まえて、ナガラの非逆接(A類)と逆接(B類)の関係性についても考える
    • 両者(同時性と逆接性)は区別できるようで連続的:チョコレートを食べながら、痩せたいとこぼす
    • このことに基づき、ナガラが根底に持つ共通構造を「共存性」にあると規定する
  • 同時性は時間的従属関係を持ち、逆接性は非時間的並列関係を持つ(川端1958)ので、以下のことが説明できる
    • 形容詞述語や名詞述語に典型的に逆接が見られることと、否定の付き方の差異
    • 逆に、動作動詞であっても「一つの完結した既定の事態」であれば、逆接の解釈が出る
  • 以上より、従属節の従属度は次のような階層をなすと考える
    • テ1甲>テ1乙>ナガラ(同時性)>ナガラ(逆接性)・B類テ

雑記

  • 殺虫灯ほしい~