菊池そのみ(2021.8)古典語における形容詞テ形節の副詞的用法の変遷
菊池そのみ(2021.8)「古典語における形容詞テ形節の副詞的用法の変遷」『国語語彙史の研究40』和泉書院.
要点
- 標記の問題について、以下2点を考える
- 通時的概観と、下接する動詞の特徴についての検討
- 形容詞テ形節の修飾のタイプに基づく各時期の様相の記述
- 中古語の形容詞テ形節を以下の2類に大別し、量的推移を見ると、Ⅰ類のテ形節の減少が認められる
- Ⅰ類(副詞的用法、近藤のA類):近くて見るに、(大和)/いとやむごとなくておはすめり(大鏡)
- Ⅱ類(非副詞的用法、近藤のB類):いみじう騒がしうて、~三月ついたちに亡くなりぬ(更級)
- 語彙的には、
- 中古~近世前期のⅠ類は「無くて~」が多いが、近世後期には「久しくて~」に固定化する
- 中古~中世前期のⅠ類は「~くて過ぐす/止む/有り/過ぐ」に偏るが、中世後期以降には偏りがなくなる
- 修飾のタイプの傾向を見るに、形容詞テ形節の付帯状況の例の減少がⅠ類の衰退と関係しそう
雑記
- 構成も手堅くて、学部生にお手本として読ませたいな~と思った
メモ(2021/10/10)
- これ、「あまた見えてのぞく」(源氏・夕顔)みたいな例あるし形容詞だけの問題じゃないですね