村島祥子(2003.11)上代の〈名詞―ナガラ〉とカラ
村島祥子(2003.11)「上代の〈名詞―ナガラ〉とカラ」『上代文学』91
要点
- 上代の名詞ナガラには「として」「ままに」「心任せに」と注されるが、もう一歩踏み込んで、「比喩や形容表現の一種と位置づける」表現として捉えなおしたい
- 我が大君 神ながら 神さびせすと(38)
- 上代の名詞ナガラの整理、
- 上代の神ナガラは、神特有の動作や状態にしか用いられない(≠学生のまま結婚する)
- 山・海・意志のような無意志の動作主体の場合もあり、「それにふさわしい存在感」を表す(山ながらかくも現しく・3332)
- よって、トシテ・ママニは理解として不十分で、「心任せに」は不適当。「~であるにふさわしくV」が最も近い直訳である
- なぜナガラがそのような意味を持ちえたのか、複合名詞Nカラから考える
- 国からか見れども飽かぬ 神からかここだ貴き(220)
- このようなカラは「目の前の出来事や光景の中に現れる物の性質を表す」抽象名詞であり、以下の特徴が指摘できる
- 単独使用の例がなく、
- 副詞句としてしか用いられない
- 上接語は題目そのもの
- 疑問・推量を伴うことが多い
- 見る行為に関わる表現が多い
- 題目が三人称のみ(特に一人称がない)
- ナガラの「それらしい・ふさわしい」と感じた表現主体の見方を表す意味も、このカラの性質に由来する
- (従来解釈の問題については略)
雑記
- 後期はまとめて5本撮りとかして時間を作ろうね