ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

鈴木裕史(1999.3)接続助詞「つつ」の素描:鎌倉時代末期成立『とはずがたり』の場合

鈴木裕史(1999.3)「接続助詞「つつ」の素描:鎌倉時代末期成立『とはずがたり』の場合」『文教大学国文』28

要点

  • 中世におけるツツについて考える

hjl.hatenablog.com

  • まず、ツツの本義については反復・継続説と同時並存説があるが、前者を採る
    • 「前件動作の反復される期間内に後件動作が並存する」のだが、「並存」の機能はあくまでも副次的なものである(空寝をしつつ、日高く大殿籠り起きたり・初音)
    • 並存を副次的と考えた上で、テとの比較を行いたい
  • とはずがたりのツツには、
    • 古来の意味を保持する例があり、
    • 中世語法である「テと同意のツツ」も認められる
      • 並存(ていて/て):水も凍り閉ぢつつ物悲しきに、/月の入るさの山横雲白みつつ、東の山はほのぼの明くるほどなり
      • 非並存(して、それから):(後深草院が)引き開けつつ、いと馴れ顔に入りおはしまして、
      • 仮定条件:御所の御使など見合ひつつ(=たら)、『ころとも知らで』〔と〕やおぼしめされむ、
    • なお、竹むきが記には「伸びつつゆく」のような複合動詞内のツツもある

雑記

  • 6月中旬にって言われてた本、そういえば届いてないな