ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

接続助詞

菊池そのみ(2019.1)古代語の「ての」について

菊池そのみ(2019.1)「古代語の「ての」について」『筑波日本語研究』23. 要点 標記形式(飲みての後は・万821)について、以下2点を考えたい 1 古代語における、テノによる連体修飾と、連体形連体修飾との間の差異 2 古代語のテノと現代語のテノの差異 調…

塚本泰造(2006.3)馬琴の文語に見られる「から(に)」が意味するもの:「から」をめぐる言説とその影響

塚本泰造(2006.3)「馬琴の文語に見られる「から(に)」が意味するもの:「から」をめぐる言説とその影響」『国語国文学研究』41 要点 馬琴の文語に見られるカラについて考える こは交易の為に渡海せし、日本人よと思ふから、貯もてる薬なんどの、ありもや…

塚本泰造(2003.3)真淵・宣長の擬古文の作為性:富士谷成章の和文とその「から」「からに」観との比較を通して

塚本泰造(2003.3)「真淵・宣長の擬古文の作為性:富士谷成章の和文とその「から」「からに」観との比較を通して」『国語国文学研究』38 要点 宣長のカラは原因・理由を批判的に強調し(塚本2001)、真淵のカラニ・カラハも同様の機能を持つ(塚本2002) こ…

塚本泰造(2002.2)賀茂真淵の著述(擬古文)における「から」系のことば

塚本泰造(2002.2)「賀茂真淵の著述(擬古文)における「から」系のことば」『国語国文学研究』37 要点 宣長のカラには不自然であると判断された事態を批判的に表現使用する傾向がある(塚本2001)が、擬古文の先駆者である賀茂真淵の場合はどうか 真淵のカ…

塚本泰造(2001.4)本居宣長の著述(擬古文)に見られる「から」について

塚本泰造(2001.4)「本居宣長の著述(擬古文)に見られる「から」について」迫野虔徳(編)『筑紫語学論叢』風間書房 要点 いわゆる分析的傾向の流れの中で、その表現欲求を満たそうとするとき、擬古文は、和文という古い「コマ」を使うしかないので、その…

鈴木裕史(1999.3)接続助詞「つつ」の素描:鎌倉時代末期成立『とはずがたり』の場合

鈴木裕史(1999.3)「接続助詞「つつ」の素描:鎌倉時代末期成立『とはずがたり』の場合」『文教大学国文』28 要点 中世におけるツツについて考える 新旧語法の交錯する、とはずがたりを対象とする hjl.hatenablog.com まず、ツツの本義については反復・継続…

岩田幸昌(1990.2)源氏物語の接続助詞「つつ」をめぐって

岩田幸昌(1990.2)「源氏物語の接続助詞「つつ」をめぐって」『金沢大学国語国文』15 要点 ツツの意味には以下の2点が認められる 2つの状態が同時にあること 動作の反復・継続 すなわち、ツツの意味は、「動作の、反復・継続・複数を表しながら、その動作が…

上野隆久(2005.6)江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として

上野隆久(2005.6)「江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として」『日本近代語研究4』ひつじ書房 要点 接続助詞カラには、後件で原因・理由を述べ、「からだ」で締めくくる用法があるが、江戸…

山口明穂(1969.3)中世文語における接続助詞「とも」

山口明穂(1969.3)「中世文語における接続助詞「とも」」『国語と国文学』46(3) 要点 トモの接続の様相を通して、文語行為について考えたい 詠歌大概註で宗祇は「ぬるとも」を「ぬるゝとも」に置き換えて説明する 当たり前のことのようであるが、宗祇自身の…

宮内佐夜香(2015.3)近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照

宮内佐夜香(2015.3)「近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照」『中京大学文学会論叢』1 要点 宮内(2007, 2013)を踏まえつつ、近世後期江戸語のドモ・ケレドモ・ガについて、特に、あまり考えられてこなかった上方の精査と、東西…

山口明穂(1972.3)中世文語における「つつ」についての問題:意味認識の過程

山口明穂(1972.3)「中世文語における「つつ」についての問題:意味認識の過程」『国文白百合』3 要点 ツツは秘伝書において以下のように記述され、あゆひ抄などでは認識されている「一つの動作の反復」についての説明がない 程経之心(動作の経過)/二事…

蜂矢真郷(1984.5)動詞の重複とツツ

蜂矢真郷(1984.5)「動詞の重複とツツ」『国語語彙史の研究』5 要点 終止形重複、連用形重複、ツツ、ナガラについて考える まず終止形・連用形の重複について、 終止形重複は、宇治拾遺・平家以降に副詞としてほぼ固定化(e.g. ナクナク)し、 一方で連用形…

川島拓馬(2019.4)逆接形式「くせに」の成立と展開

川島拓馬(2019.4)「逆接形式「くせに」の成立と展開」『国語国文』88(4) 要点 クセニの成立・変遷過程と、特にクセニが非難・不満を表すことについて考えたい 名詞クセは中古からあり、クセ+ニは抄物に例がある このクセニは「順接的」ではあるが、接続の…

山口堯二(1980.3)「て」「つつ」「ながら」考

山口堯二(1980.3)「「て」「つつ」「ながら」考」『国語国文』49(3) 前提 古代語のテ・ツツ・ナガラを、その前句・後句の関係性から考える テ テの基本的な意味は並列性 「二つ(以上)の事態がただ空間的または時間的に並列されているという関係」で、継…

小林美沙子(2010.3) 新方言として終助詞化した「し」の命令・禁止・勧誘表現について

小林美沙子(2010.3)「新方言として終助詞化した「し」の命令・禁止・勧誘表現について」『首都圏方言の研究』1-1 要点 接続助詞シに由来する終助詞シに、「しろし」などの命令・禁止・勧誘が見られる 調査 命令・依頼・禁止にはつかないとされているが、つ…

青木博史(2014.10)接続助詞「のに」の成立をめぐって

青木博史(2014.10)「接続助詞「のに」の成立をめぐって」青木他編『日本語文法史研究2』ひつじ書房 前提 以下の2点に留意しつつ、ノニの成立・発達について考えたい ノ+ニの構造をどのように把握すべきか 「意外感」「不満」の意味の出どころ ノニの出自…

西田絢子(1978.4)「けれども」考:その発生から確立まで

西田絢子(1978.4)「「けれども」考:その発生から確立まで」『東京成徳短期大学紀要』11 要点 ケレドモの歴史は以下の4期に分けられる 室町後期:マイ・ウに下接 江戸初期:タイ・タ、形容詞・動詞などに下接 江戸中期:すべての活用語に下接可能に 江戸後…

小川志乃(2003.3)テヨリとテカラの意味的相違に関する史的研究

小川志乃(2003.3)「テヨリとテカラの意味的相違に関する史的研究」『国語国文学研究(熊本大学)』38 要点 天草平家と原拠本平家において、ヨリ→カラの交替は顕著だが、テヨリはテカラと対応しない テヨリとテカラには意味差があり、それが交替を許容しな…

清水真澄(2014.2)『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係

清水真澄(2014.2)「『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係」『中央大学大学院 大学院研究年報 文学研究科篇』43 要点 上代のナヘ(ニ)は、同時並行を表すものではなく、継時的な関係性を表現者の中で関連付ける表現であり、 前件の…

田村隆(2007.12)いとやむごとなききはにはあらぬが:教科書の源氏物語

田村隆(2007.12)「いとやむごとなききはにはあらぬが:教科書の源氏物語」『語文研究』104 要点 桐壺冒頭部が、ほぼ逆接として読まれてきたことを示す 問題 「いとやむごとなききはにはあらぬが」の「が」についての教科書的説明として、同格の格助詞であ…

小川志乃(2004.6)カラニの一用法:接続助詞カラ成立の可能性をめぐって

小川志乃(2004.6)「カラニの一用法:接続助詞カラ成立の可能性をめぐって」『語文』82 要点 カラ成立の「カラニのニ脱落説」についての検討 従来逆接とされたムカラニを原因理由の一部と捉えることで、カラニが断絶しなかったものと考える 問題 カラ成立の…

近藤泰弘(2012.2)平安時代語の接続助詞「て」の様相

近藤泰弘(2012.2)「平安時代語の接続助詞「て」の様相」『国語と国文学』89-2 要点 近藤(2007)の補強と詳細な分析 hjl.hatenablog.com 問題 A類:て・ながら・ず(否定)・で(否定)・連用形 TAMを含まない B類:とも・ば(仮定)・は(仮定)・ば(確…

宮内佐夜香(2007.10)江戸語・明治期東京語における接続助詞ケレド類の特徴と変化:ガと対比して

宮内佐夜香(2007.10)「江戸語・明治期東京語における接続助詞ケレド類の特徴と変化:ガと対比して」『日本語の研究』3-4 問題 逆接確定条件について、現代語はケレドが多いが、江戸語ではガが目立つ 江戸語にはケドが確認されないなどの時代的差異もある …

小田勝(1994.7)接続句の制約からみた中古助動詞の分類

小田勝(1994.7)「接続句の制約からみた中古助動詞の分類」『國學院雑誌』95-7 要点 小田(1990)の修正と、それに基づく助動詞の階層的分類 hjl.hatenablog.com 前提 接続句中の助動詞の出現の制限は文の階層性を反映するものである 小田(1990)を一部改…

小田勝(1990.8)中古和文における接続句の構造

小田勝(1990.8)「中古和文における接続句の構造」『國學院雑誌』91-8 要点 中古における日本語文構造の整理 ツツ-テ-トモ-未バ-已バ-ド・ドモ の階層を提示 前提 例えば已然形バは、めば、らめば、けめばを接続しないが、ド・ドモは承けることができる 心…

小林正行(2014.3)狂言台本における例示の副助詞デモ

小林正行(2014.3)「狂言台本における例示の副助詞デモ」小林賢次・小林千草編『日本語史の新視点と現代日本語』勉誠出版 要点 タイトルまんま 近世狂言台本の例示のデモ(お茶でも)が、逆接仮定条件のデモの、最低条件の「せめて~だけでも」と、全面的肯…

吉田永弘(2014.1)古代語と現代語のあいだ:転換期の中世語文法

吉田永弘(2014.1)「古代語と現代語のあいだ:転換期の中世語文法」『日本語学』33-1 要点 転換期として位置付けられる中世語の事例として、 連体法の「む」の衰退 仮定形の成立 肯定可能の「る・らる」の拡張 を挙げ、これを軌を一にする変化として統一的…

京健治(1998.2)並立列挙表現形式の推移

京健治(1998.2)「並立列挙表現形式の推移」『島大国文』26 要点 ~シ~シの成立以前の並立表現のあり方について シ 用例推移を見ると、 虎明本・天理本のマイシの例が早い その後、ウシの例が出る 近世後期にVシの例がある シの成立について、 従来は形容…

吉田永弘(2015.11)「とも」から「ても」へ

吉田永弘(2015.11)「「とも」から「ても」へ」秋元実治・青木博史・前田満編『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 「とも」から「ても」への交替過程とその要因について 「ても」は当初逆接仮定の形式ではなかった 中世後期に助詞「て」+助詞「も」…

宮内佐夜香(2013.10)近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について

宮内佐夜香(2013.10)「近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について」『近代語研究』17 要点 近世~近代にかけて衰退したド・ドモが、衰退期にどのようにガ・ケレド・ケレドモと共存しているか 接続形式など、環境は限定的で、文語的位相…