衣畑智秀(2001.12)「いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化」『待兼山論叢 文学篇』35
要点
- ノニとケドの差異2点に対する説明は「逆接」のカテゴリーでは十分に行えない
- 違和感・意外感
- 後件が既実現:雪が降っている{けど/*のに}でかけ{なさい/よう}
- 結論先取り、「ノニは「逆接」というカテゴリーの一部を特殊化させたというよりも、違和感や不満を感じる、人の経験的側面を語彙の中に反映させている」
- 丹羽(1998)の「前件・後件の対立」を、「話し手の知識(一般的な推論)と現実の事態」の対立であると考える
- というのも、感情的な概念はノニ文に関係なくあるものであるから、条件文とは独立に説明しなければならない
- 丹羽(1998)の「前件・後件の対立」を、「話し手の知識(一般的な推論)と現実の事態」の対立であると考える
- 違和感・意外感・不満を一般化すると、
- 推論による仮定(雪が降っている→出かけない)や期待(待ち合わせする→現れる)と現実は矛盾することがあり、その現実に対して人は意外感・不満を抱く
- すなわち…
- 「この心的状態にあるときにノニ文が発話される」と考えたときに説明できること
- 後件が既実現事態に限られるのは、違和感・意外感、不満を感じさせる事態が、既に成立している事態でなければならないから
- 接続助詞用法とされてきたものは前件ノニによって、後件で違和感・不満を感じる事態として聞き手に提示する機能を持ち、
- 終助詞とされてきたものもまた同様の帰納を持つが、発話者の態度、評価を表すニュアンスが強くなるものと解釈できる
- 「違和感」類はノニでなくても提示できる(こんな早い時間に…、cf.田野村1989「述語省略文」)が、ノニは、「個々の語彙や文脈によって表現されるような語用論的な意味を、語彙の意味として定着させている」と言える
雑記
- いいとも以来見てないもの…ノニジュース