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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

片山鮎子(2022.3)宮内庁書陵部蔵『論語抄』の原因理由を表す接続形式について:ヲモッテ・ニヨリ・ニヨッテ・已然形+バ・ホドニ

片山鮎子(2022.3)「宮内庁書陵部蔵『論語抄』の原因理由を表す接続形式について:ヲモッテ・ニヨリ・ニヨッテ・已然形+バ・ホドニ」『岡大国文論稿』50.

要点

  • 笑雲清三・宮内庁書陵部蔵「論語抄」(1514成立、1600写)を対象に、以下の5形式の調査を行う。
    • ヲモッテ・ニヨリ・ニヨッテ・已然形+バ・ホドニ
  • 各形式の階層について、
    • ヲモッテは、前件に形容詞・形容動詞・動詞ル形を、後件にル・打消のみが現れるので、田窪の「動作」を繋ぐ形式である。
    • ニヨリは、後件にタが現れる点(田窪の「事態」)のみ、ヲモッテと異なる。
    • ニヨッテも前件は「動作」、後件は「事態」までを承け、ニヨリと同じ階層に属する。
    • 已然形+バは、前件にタリ(事態)が、後件にはウズ・マイ・カといった「判断」が現れる。
    • ホドニは前件にモダリティ、後件にモダリティや命令(伝達の要素)が現れ、「話者の判断・伝達を繋ぐ際にまで使用できる」形式である。
    • これと並行して、「トイウ」は、ヲモッテ・已然形+バの場合は発話のみを表すが、ホドニの場合は引用も承ける。

p.124

雑記

  • 尾上「主語にハもガも使えない文」って、webarchiveで見れるんですね

web.archive.org

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