ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

小田勝(2006)不十分終止の句(5,6)句の並立、句の素材化

小田勝(2006)「不十分終止の句」『古代語構文の研究』おうふう

要点

  • 挿入句・提示句・成分の句化以外の不十分終止の句について概観し、不十分終止句の全体像を捉える(5節)
  • 並列の関係に立つ不十分終止の句がある
    • 返しせねば情けなし、えせざらむ人は、はしたなからむ(帚木)
    • この世の人は、[[男は女にあふことをす、]+[女は男にあふことをす]]。(竹取)
    • 「~はさらなり」もこれの一種と言えるし、
    • 選択疑問文の前項(ひととせを去年とやいはむ今年とやいはむ)もこの類ということになる
  • 句を名詞化する際に、不十分終止を用いることがある(句の素材化)
    • 朝食後に散歩をする、それが彼の日課でした
    • 念仏は…地獄に堕つべき業にてや侍るらむ、惣じて以て存知せざるなり(歎異抄

まとめ(6)

  • 「独立した一文として終止する形態を有しながら、そこで完全に終止せず、下に続いてゆく表現形式」を「不十分終止」という
  • 除去して適切に連続する不十分終止の句を挿入句と呼び、これは4類に分類される
  • 文中の成分が句の形で提示されるとき、その句を提示句と呼び、その提示句を基礎として複数の句が文中に介在することがある(提示句的連続)
    • 準体句の中には提示句が準体句化したものがある
  • 不十分終止の句にはこの他、文中の成分を話者による推定として取り立てた「成分の句化」や、「句の並立」、「句の素材化」がある

雑記

  • 目がしょぼしょぼする(ゲームのやりすぎ)