不十分終止
小田勝(2006)「不十分終止の句」『古代語構文の研究』おうふう 要点 挿入句・提示句・成分の句化以外の不十分終止の句について概観し、不十分終止句の全体像を捉える(5節) 並列の関係に立つ不十分終止の句がある 返しせねば情けなし、えせざらむ人は、は…
小田勝(2006)「不十分終止の句」『古代語構文の研究』おうふう 要点 以下の特殊性について考えるために、挿入句の構文的職能について考える 白き衣の萎えたると見ゆる着て、掻練の張綿なるべし、腰よりしもに引きかけて、側みてあれば、顔は見えず(落窪)…
小田勝(2006)「不十分終止の句」『古代語構文の研究』おうふう 要点 「提示句」とその連続について、a の変形に b, cがあることを指摘する(第3節) a 此ノ牛、片山ニ―ノ石ノ穴有リ、其ノ穴ニ入ル。(典型的な提示句) b 此ノ牛、片山ニ―ノ石ノ穴有リ、入…
小田勝(2006)「不十分終止の句」『古代語構文の研究』おうふう 要点 形態上独立した句をすべて「挿入句(はさみこみ)」で説明するのは難しい(問題の所在) 挿入句とは異なるタイプのものとして、「提示句」が存在することを示す(第2節 提示句) 挿入句…
京健治(2001.3)「「ウズ」「ウズル」の衰退に関する一考察」『文献探究』39 要点 近世期に急速に衰退するウズ・ウズルについて考える 大まかな流れ、 ウ優勢の流れにあって、ウズ・ウズルが衰退する その中で、ウズル優勢からウズ優勢へと逆転していく こ…
京健治(1993.6)「「不十分終止」の史的展開:旧終止形残存の文法史的意義」『語文研究』75 要点 キリシタン資料や狂言に見られる旧終止形の例について考える 既に消えたとされるツ・ヌ・タリ・ナリ・タシ・形容詞終止形が当時の口語にも生きていたものと考…
鈴木丹士郎(1999.10)「近世における形容詞シシ語尾の展開」『近代語研究』10 要点 近世の形容詞シシ語尾には終止法と中止法があり、 終止法が典型的に、強調の場合に用いられた その他形容詞の特殊な用法について シシ語尾の用法 終止法に使われる場合と特…
岩田美穂(2007.7)「例示を表す並列形式の歴史的変化:タリ・ナリをめぐって」青木博史編『日本語の構造変化と文法化』ひつじ書房 要点 不十分終止由来の並列形式の史的変化についての統合的な分析 問題 疑問由来の例示並列は、不定性を有するために例示の…
青木博史(2015.11)「終止形・連体形の合流について」秋元実治・青木博史・前田満編『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 終止形・連体形の合流に関して、中古は終止形→中世は連体形という見方をせず、文末準体句の広がりから見る 先行論 形態論的な…
鈴木浩(1990.9)「接続助詞「し」の成立」『文芸研究(明治大学文学部紀要)』64 要点 接続助詞「し」の成立に関して、 仕事はないし、他にすることもない 不十分終止から発生したとする考えがあるが、そこを詳しく検討する 「マイシ」に関して 初期の例は…
岩田美穂(2006.12)「並列形式「ナリ」の変遷」『待兼山論叢』40 要点 鈴木(1993)の修正 hjl.hatenablog.com ナリの並列とこれまでの問題点 基本的な機能:ある事態の要素を例示的に列挙していくこと 選択的不定性の含意:それらの要素から想定される背後…
鈴木浩(1993.6)「ナリによる並立表現における選択用法成立の経緯」『国語学』173 要点 並立助詞ナリの成立と、用法派生に関して 聯立のナリの成立 此島説「AなりともBなりとも」→「AなりBなり」は受け入れがたく、不十分終止からの発達を想定する 近松の例…
京健治(2015.3)「シシ語尾形容詞と「不十分終止」」『岡大国文論稿』43 要点 室町以降における、いわゆる「不十分終止」に関して、 耳も遠し、目も悪し、中にも、腰がかがうて、月日が、拝まれいで、是が迷惑な(狂言六義・腰折) 実盛心は猛けれども、老…