坂梨隆三(1995.3)打消の助動詞「ない」の発達
坂梨隆三(1995.3)「打消の助動詞「ない」の発達」『人文科学科紀要 国文学・漢文学』27、坂梨(2006)『近世語法研究』武蔵野書院 所収
要点
- 打消のナイの活用は滑稽本には終止連体形しかなく、連用形ナク・仮定形ナケレはないが、人情本になると出揃うようになる
- 全体として、
- ナクのほうがナケレより多く、これは、連用形から活用形を揃えたことを示唆し、
- ナカッは用例も少なく、出現時期も遅い
- 諸例のうち、
- 早めに現れる「好かなくて」「つまらなく」は形容詞的であり、これが動詞+ナクを発生させる支えとなったか
- 「いけなけれど」の例も早くにあるが、これも一語的である
- 江戸語の打消はナンダを除けばほとんどがナイで賄われていて、そこにナクが入り込んで活用を揃えたのではないかと考えられる
- ナイデ/ナイデアロウ/ナイヨウニナル/ナイケレバ
雑記
- 2月が無理すぎんねんな