ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

奥村彰悟(1997.8)「ないければ」から「なければ」へ:一九世紀における打消の助動詞「ない」の仮定形

奥村彰悟(1997.8)「「ないければ」から「なければ」へ:一九世紀における打消の助動詞「ない」の仮定形」『日本語と日本文学 』25

要点

  • ナイケレバが18C後半から19C前半にかけて見られることは知られているが、ナケレバの変化については明らかになっていない
  • 洒落本のナイケレバはネバ・ズハの両方の用法(恒常条件・仮定条件)を担っていた(奥村1996)
  • 調査、1850年頃を境にナイケレバからナケレバへの移行が起こったと考えられる
    • 七偏人まではナイケレバ優勢、
    • 安愚楽鍋では江戸町人でない人物のみがナイケレバを使用する
  • まとめ、
    • 変化は天保安政頃で、明治10年代に完了
    • 打消のナイが形容詞型の活用を完備するようになったこと(→坂梨)が要因で起こったと考えられる

雑記

  • 否定に興味ニキ