ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

勝又隆(2005.10)上代「−ソ−連体形」文における話し手の認識と形容詞述語文

勝又隆(2005.10)「上代「−ソ−連体形」文における話し手の認識と形容詞述語文」『日本語の研究』1(4)

要点

  • 上代におけるソの係り結び(論文では「ーソ―連体形」)が、推量系の助辞を結びに取りにくいことが何の反映であるのかを考える
  • 機能の点から
    • 上代のソの結びは動詞が40%以上、ム・ラム・ケム・マシ・ベシは2%にも満たない
    • 中古でゾの結びにならないのは連体ナリ・マジ・ジのみ
    • ナムは連体ナリ・ム・ラム・ケム・マシ・ジを結びに取らないので、この点で上代ソと共通する
      • ナムの「事態について確定的に述べる」が上代のソにも言えそう
      • 推量を「非現実事態」とすると、ソは現実事態を言語化すると言えそうだが、ム・マシも少数ながら存在するので、そうとも言い難い
  • 「根拠となる情報に対する認識のあり方」という観点から分類すると、
    • 直接情報に基づく発話が大半を占め、
    • 間接情報も「伝聞」「知識」であり、「情報を事実とみなす認識」であるという点で統一的に理解される
  • この機能は形容詞述語文と相似的である
    • ソはコソに比して形容詞・アリ系の結びが多く、状態性を帯びる傾向にある
    • 形容詞述語文の終止法にも同様、白鳳期までは推量系の制約があり、「情報の事実認識」の傾向が取れる
    • 形容詞述語文も平城期以降はムを取ることが多くなり、ソがその影響を受けて、遅れて同じ変化を辿った可能性がある

雑記

  • 目指すぞ!

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