ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

吉田光浩(1990.3)主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として

吉田光浩(1990.3)「主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として」『大妻国文』21.

要点

  • 形容詞の活用形の分布の偏りから、その機能の分布を検討したい
  • 枕草子に出現する形容詞の、各活用形+補助活用の出現率を求めると、以下の相関がある
    • 終止形と已然形に正の相関→述語的用法を基本とする形態としての共通性
    • 終止形と連用形に負の相関→述定性と装定性の非共存
    • 連体形と終止形に負の相関
    • 連用形と連体形に負の相関→連用装定と連体装定の非共存性

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p.10

  • 形容詞のタイプとの関係性は以下の通り
    • シク活用は述語的な用法(終止・已然)が優勢、ク活用は連体修飾的な用法が優勢
    • 感情形容詞は終止・已然形型に分布(山本1955とも関連)

雑記

  • この論文1990年に書いてんのやべえやろ