村上謙(2006.2)「近世後期上方における一段化動詞について」『国語と国文学』83(2)
要点
- 近世後期上方で四段動詞を一段的に用いる現象について検討したい
- 未然:iンカの例が多く、否定は寛政以降にわずかに見られる
- 連用:連用形禁止法
- 終止連体:多くなく、オ~iルに偏る
- 仮定:これもオ形のみで、例は少ない
- 命令:連用形命令による
- 待遇の段階としては山崎の第一・第二段階に位置する
- 連用形テ形タ形、終止連体形、仮定形の分布を調べると、以下の通り
- テ・タは京阪ともに、オ~は遅れて京都のみ
- 終止連体形は遅れて、京都のみ。オ形は比較的多く、文政頃から、京都のみ
- 仮定形はオ形のみで希少、遅れて京都のみ
- この順に成立事情を考える
- 連用形テ・タについては、
- 行きんか、行きな、行き を土台として一段型動詞を作り出そうとする力(一段化システム)により、連用形「行きて」が成立したと考える見方は採れない
- 連用形命令+テ・タという成立過程を想定する
- 終止連体形については、一段化システム説を採りたい(ルによる動詞化説は採れない)が、確証が得られないので、頻度の高いオ形の成立過程から考える
- 連用形テ・タについては、
- 一段化動詞は独自の待遇価値を持つが、一段動詞から一段動詞が作れないという欠陥があり、それを補完するのが、他の活用型のオ動詞を背景に成立したオ形(お掛ける)であった、と考える
雑記
- スイッチライト買ったら全てのリズムが終わりました