ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

新里博樹(1983.1)終止形を有する形容詞群の考察

新里博樹(1983.1)「終止形を有する形容詞群の考察」『国語研究』46.

要点

  • 上代の形容詞における標記の問題について、以下の2点を考える
    • Ⅰ 終止形を有する形容詞にはどのような語があるか
    • Ⅱ それらの形容詞はどのような特徴を有しているか
  • 万葉集の形容詞の分布、
    • ク活用は語幹・連用形・連体形が多く、シク活用は終止形・連体形が多い
    • 終止形を有する形容詞は、シク活用の占める割合がク活用よりやや大きい
  • 終止形の例のみがある形容詞もやはり、シク活用が多い
    • あさまし、こころぐるし、はづかし、まぎらはし、…
    • ク活用形容詞も、ありがたし・たやすしのような話者の判断を示すものが多い
  • それと並行して、終止形の比率が高い形容詞はカリ活用になりにくい
    • 終止形の述定機能は話者の判断、カリ活用の述定が状態の陳述と考えると、理解しやすい

雑記

  • 学振の書き方の記事でも書こうかな