伊牟田経久(1976.12)ナムの係り結び
伊牟田経久(1976.12)「ナムの係り結び」『佐伯梅友博士喜寿記念国語学論集』表現社.
要点
- ナム・ナモを中心とした係り結びについて、
- 1 ナムの特徴に、「ナムの場合、ゾの違って、結びが連体修飾語となる場合がある」ことが挙げられる
- 2 上代のナモは、以下の特徴を持つ
- 間投的である
- 型は、「「…ナモ…V」と詔リタマフ…」などの型で大命を統括するか、「…ナモ…V。是以…」などの型で根拠・理由を提示する
- 「ナモ…ク終止」の例が注目され、係り結び成立には以下のルートが推定される
- …ク終止 → ナモ…ク終止 (ク終止に代えて連体形終止を使う)→ ナモ…連体形*1
- こう考えると、ナ・モはともに感動の助詞であり、倒置説には従えないことになる
- 3 中古のナムについては、以下の3点が指摘できる
- 「情をこめて聞き手へ語りかけようとする語である」
- 結びの省略が多いのは、上の「押しつけがましさ」を避けるために、はっきりと言い切らなかったことによる
- ナムの衰退は、ゾが客観的に説明し、コソが主観的判断を表すのに対して、言語主体の態度を表すナムが新しい表現や文体に適合しなかったことによる
雑記
- 本のタイトルで検索して、いろんな通販サイトが上の方に出てくるのほんといらね~って思う 版元ドットコムを直接検索する癖つけたい
*1:引かれてるのを見たことなくて、この説を知らなかった