ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

金銀珠(2020.11)主格助詞「が」が係る述語の拡大:上代から中世までを対象に

金銀珠(2020.11)「主格助詞「が」が係る述語の拡大:上代から中世までを対象に」『名古屋大学国語国文学』113.

要点

  • ガの係る述語は、中古では活動的な動詞が9割程度を占める(金2016)が、その後、状態性の高い方へと拡張する
  • 述語の品詞は、活動動詞→非活動動詞→形容詞・名詞に拡張
    • もしこのことが夢ならば、…(天草平家1)
  • 非活動動詞の内部では、変化動詞・存在動詞が中心であったのが、状態動詞も使用できるように
    • 仲綱が、天下のわらはれぐさとならんずるこそやすからね(天草平家4)
  • 変化動詞の内部では、位置変化→状態変化
    • 目ガツブレタル也(論語抄1)/太刀がゆがめば…(天草平家2)

p.110

  • 非活動動詞のうち、存在動詞は、特に新情報提示と反語疑問文において拡張する
    • 八条に政時といふ侍があったが、…(天草平家4)
    • この川の深さ、浅さも利根川にいかほどの劣り勝りがよもござらうぞ?(天草平家4)

雑記

  • 一日中ツイッターやってる研究者のアカウント、やばすぎる