村上謙(2013.12)明治大正期関西弁資料としての曽我廼家五郎喜劇脚本群
村上謙(2013.12)「明治大正期関西弁資料としての曽我廼家五郎喜劇脚本群」『埼玉大学国語教育論叢』16.
要点
- 全体的な資料性について、
- 五郎作品群には、関西弁話者のみの作品(表中○)以外に、関西弁話者と標準語話者が混在する作品(表中△)があり、場合によっては「当時の関西弁を、標準語との交渉を前提として捉え直す必要」のあることを示唆する
- 基本的には「関西弁話者かどうか」を判定した上で、そのスタイル別に分析するのが有効であるが、中間的な話者(e.g. ジャ以外に方言臭を感じない場合)があることには注意する必要がある
- 否定表現を事例として資料性を見ると、
- 否定のヌ・ナイ:標準語話者がヌ系を使用する点、ヘンの使用が見られる点が注目される
- 待遇+否定:関西弁話者ではSH交替形のマヘン・オマヘンが多く見られ、オマヘンの例はない
- 過去+否定:ナンダVSナカッタの関西弁・標準語の対立があり、ンカッタの例はない
- 当為:SP盤・小剣作品には見られない、ネバをもとにした形式(e.g. ネバナラヌ)の例がある
雑記
- 本当に夏休みが終わる……