ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

大秦一浩(2005.9)接尾語ミの並列用法:『あゆひ抄』所説をめぐって

大秦一浩(2005.9)「接尾語ミの並列用法:『あゆひ抄』所説をめぐって」『文芸論叢』65.

要点

  • 「降りみ降らずみ」(後撰集445)のような「ーミーミ」は、動詞見るに由来する接尾語ミの並列と見るのが通説であるが、『あゆひ抄』は、「も家」に立て、「も」の立居(母音交替形)と見る。
  • 成章は、「と見かう見」(伊勢)の「見」と並列のミを区別して、ミをモの母音交替と見る。
  • 成章がこのように判断した根拠を考えるために、実例を見ると、以下2点の変化が見出される。
    • 1 並列は古くはーミーミであり、ーミーズミが後発的である
    • 2 万葉集のーミーミは主体が有情であるが、それ以降は非情物も取る(曇りみ晴れみ、伊勢)
  • 上の判断は、成章が既に「見」の意味を捨象した時期のミを中心的な対象としたこと、また、モも並列用法を有することに注目したことに基づくものであると考えられる。

雑記

  • ちょっと祝日とかあってペーパーワーク減った瞬間研究が捗る ペーパーワークに死を