ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

並列

岩田美穂(2021.1)述語句並列におけるミ並列の位置づけ

岩田美穂(2021.1)「述語句並列におけるミ並列の位置づけ」『就実表現文化』15. 要点 完了形式系の並列形式は、鎌倉頃にヌ・ツ・タリ(まとめてタリ型)があり、最終的にタリ一形式となる。これ以前に見られるミによる並列が、並列表現史にどのように位置づ…

大秦一浩(2005.9)接尾語ミの並列用法:『あゆひ抄』所説をめぐって

大秦一浩(2005.9)「接尾語ミの並列用法:『あゆひ抄』所説をめぐって」『文芸論叢』65. 要点 「降りみ降らずみ」(後撰集445)のような「ーミーミ」は、動詞見るに由来する接尾語ミの並列と見るのが通説であるが、『あゆひ抄』は、「も家」に立て、「も」…

野呂健一(2013.3)「~わ~わ」構文の分析

野呂健一(2013.3)「「~わ~わ」構文の分析」『日本語文法』13(1). 要点 並列述語構文「~わ~わ」に以下の2種類を認めるとき、 V1わV2わ:雨には降られるわ、デートに遅刻するわ、… VわVわ:雨が降るわ降るわ 「V1わV2わ」は以下ような特徴を持ち(「交差…

岩田美穂(2007.12)「ノ・ダノ」並列の変遷:例示並列形式としての位置づけについて

岩田美穂(2007.12)「「ノ・ダノ」並列の変遷:例示並列形式としての位置づけについて」『語文』89 要点 並列のノ・ダノが引用のトに支えられて成立した形式であること、 他の並列形式と同様の変化の方向性を持つものとして捉えられることを示す 前提 「言…

京健治(1998.2)並立列挙表現形式の推移

京健治(1998.2)「並立列挙表現形式の推移」『島大国文』26 要点 ~シ~シの成立以前の並立表現のあり方について シ 用例推移を見ると、 虎明本・天理本のマイシの例が早い その後、ウシの例が出る 近世後期にVシの例がある シの成立について、 従来は形容…

岩田美穂(2007.7)例示を表す並列形式の歴史的変化:タリ・ナリをめぐって

岩田美穂(2007.7)「例示を表す並列形式の歴史的変化:タリ・ナリをめぐって」青木博史編『日本語の構造変化と文法化』ひつじ書房 要点 不十分終止由来の並列形式の史的変化についての統合的な分析 問題 疑問由来の例示並列は、不定性を有するために例示の…

山田潔(2015.3)『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法

山田潔(2015.3)「『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法」中村綠郎編『日本語史の研究と資料』明治書院 要点 ツ・タリによる並列表現に関して、玉塵抄の定点観測に基づき、タリがツを侵食する過程を見る ツの用法 V1V2ツ:アガツヽサガツヽ -対義と…

岩田美穂(2006.12)並列形式「ナリ」の変遷

岩田美穂(2006.12)「並列形式「ナリ」の変遷」『待兼山論叢』40 要点 鈴木(1993)の修正 hjl.hatenablog.com ナリの並列とこれまでの問題点 基本的な機能:ある事態の要素を例示的に列挙していくこと 選択的不定性の含意:それらの要素から想定される背後…