ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

坂詰力治(1995.11)中世語法より見た『発心集』:国語資料としての性格

坂詰力治(1995.11)「中世語法より見た『発心集』:国語資料としての性格」『国語と国文学』72-11

前提

  • 発心集(鎌倉成立)の性格について考える
    • 慶安4[1651]刊の版本による

発心集の文法現象

  • 二段活用の一段化と見られるものに「朝ニサカヘル家」の例があるが、これは連用形+リの例か
  • 連体形終止は、
    • 会話文に異なり語数が多く、
    • 地の文ではケリに偏る
  • 他の活用の問題として、
    • 下二段→四段:夕ニヲトロヒヌ(上二段か?)
    • 上二段→四段:志ヲ報ハムトスル
    • 四段→下二段:アヤシメザラマシカバ
    • ハ行化:モダウル
    • ヤ行化:堪ユ、教ユ
  • 係り結びは全体的に守られている
  • 助動詞に関して、メリとマジに接続の乱れ(出ヅルメリ/シラマジ)がある
  • カシは命令カシとゾカシに偏る
  • ハ行はウ音便と促音便、バ・マ行は撥音便とウ音便がそれぞれ、テ形の場合に限って現れる
  • 下二段給フの丁寧語化の流れに沿って、四段給フとの混同例がある
  • 以上、発心集諸本は成立時期からは大きく離れるが、中世語的性格を極めて色濃く伝えるものである

雑記

  • がんばりましょう4