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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

藏本真由(2018.3)「感じがする」の前接要素と形態的特徴

藏本真由(2018.3)「「感じがする」の前接要素と形態的特徴」『国文学』102

前提

  • 「感じがする」の通時変化について、以下の資料を用いて、
  • 以下の観点から考える
    • 様態・引用形式前接の有無
    • 前接品詞
    • 形態的バリエーション

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分析

  • 様態・引用が介在するかどうかという観点からは、
    • 明治期はヨウナ・トイウヨウナ・ラシイ・トイウ・ラシイトイウに限られ、
    • 現代ではミタイナ・ッテ、さらに下ってッチュウ・テなどが現れるようになる
    • 時代が下る、もしくはくだけた文体になると様態は脱落する傾向にあり、引用は現れやすくなる
  • 品詞タイプの観点からは、
    • いずれのレジスターでも、動詞が主、形容詞は稀、形容動詞も安定して出現
    • 名詞が明治・文学~Twitterにかけて増加する
      • かつては比況に限られたが、
        • 何となく高峰の花という感じがしたのに、(泉鏡花・悪獣篇)
      • 現代では用法が拡大し、「特徴の切り出し」のような用いられ方がある
        • 財布のカード差し込むところに色々入ってると大人って感じがする
  • 形態的バリエーションとしては、
    • 下るほどスル形に偏る
    • テ形はTwitterで増え、これは「感じがして、嬉しかった」のような感想を述べるものがあるため

雑記

  • レモングラス:お茶が飲み放題になるのでゴクゴク飲んでしまう。冬越しに手間がいるのが惜しい。(夏に水不足で枯らしてしまった)