ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

須田淳一(1997.7)「単語」をどう扱うのか:「を+ミ語形」構文の場合

須田淳一(1997.7)「「単語」をどう扱うのか:「を+ミ語形」構文の場合」『国文学解釈と鑑賞』62(7)

要点

  • ミ語法のミの位置付けについて、「品詞相互が緩やかに連続している」という考え方に基づいて考える
  • 意味的・形態的・構文的に、動詞性・形容詞性をそれぞれ有する
  • 動詞性の問題
    • ~ガルのテストに耐えうるが、「する」意を含意しない
    • マ行四段動詞の連用形と同形態だが、連用形以外の活用形がほぼ見られない
    • ヲと共起するが、動作主が明示されない
  • 形容詞性の問題
    • 状態を含意する一方、プロセス性を含意するものもある
    • 形容詞語幹や派生的形態素から成るが、後世の形容詞はmで構成されることがない
    • ヲがない場合、関係項は主語の位置に立つ(主格が無助詞の場合と同じ)が、連体修飾的な項にならない
  • 品詞の連続性の中では、ミは⑥または⑧に位置付けられる
    • 概念構造的には、ミは属性と運動とを分節せず、
    • 文法機能的には修飾と述定を併せ持つ形式である

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p.63

  • このように考えると、ミが接続形式のように扱われることについても説明が可能になる
    • 「後件の内容に依存的で、非終止である」ことは、修飾の機能と等価である

雑記

  • 「○○は論文の命」、めちゃくちゃ色々ある