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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

行為指示

福島直恭(2020.3)後期江戸語の行為要求表現方式「ねえ」に関する一考察

福島直恭(2020.3)「後期江戸語の行為要求表現方式「ねえ」に関する一考察」『学習院女子大学紀要』22 要点 江戸語で行為要求に使われるネエが、正面切って扱われたことはなかった 機能と成立過程「にしか」関心がなかったのは問題である 江戸洒落本・滑稽…

新沢典子(2003.3)古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって

新沢典子(2003.3)「古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって」田島毓堂・丹羽一彌(編)『日本語論究7』和泉書院 要点 標記の問題について考える 「歌謡段階で生きていた対詠的表現が歌の場の変化を反映して形式化…

Sarah D'Hertefelt, 2017. Directive conditional and complement insubordination in Germanic languages

Sarah D'Hertefelt, 2017. Directive conditional and complement insubordination in Germanic languages. Daniël Van Olmen and Simone Heinold (eds.), Imperatives and Directive Strategies. John Benjamins, 209-239. 要点 脱従属化した条件節や補文が…

Heiko Narrog, 2012. Beyond intersubjectification: Textual uses of modality and mood in subordinate clauses as part of speech-act orientation

Heiko Narrog, 2012. Beyond intersubjectification: Textual uses of modality and mood in subordinate clauses as part of speech-act orientation. English Text Construction 5(1), 29–52. 要点 日本語・英語におけるモダリティ・ムード形式の texutual…

Daniël Van Olmen, 2013. The Imperative of Say as a Pragmatic Marker in English and Dutch

Daniël Van Olmen, 2013. The Imperative of Say as a Pragmatic Marker in English and Dutch. Journal of Germanic Linguistics 25.3, 247–287. 要点 英語とオランダ語で、「言う」の命令(形)が語用論標識になる 英語の場合、 節頭で接続詞のように働く…

森脇茂秀(2015.3)比況表現の一形式

森脇茂秀(2015.3)「比況表現の一形式」『山口国文』38 前提 九州方言のゴト・ゴタルが希望表現に出現する要因を考えるために、 ヤウナリが希望表現を獲得する過程を考える ヤウナリ・ヤウニの意味 中古においてヤウナリが比況になる場合、以下の傾向がある…

山口響史(2019.3)チョウダイにおける行為指示用法の成立

山口響史(2019.3)「チョウダイにおける行為指示用法の成立」『愛知淑徳大学論集 文学部編』44 前提 チョウダイの以下の意味変化と、授受表現史の中での位置付けについて考えたい 上に掲げる 受け取る(頂戴する) 行為指示(お菓子頂戴) 補助動詞による行…

中野伸彦(1990.12)江戸語における「命令文+終助詞『ね』」

中野伸彦(1990.12)「江戸語における「命令文+終助詞『ね』」」『山口大学教育学部研究論叢 第1部 人文科学・社会科学』40 要点 江戸語と現代語の命令文+ネは意味合いが異なる 「聞き手の自覚をもとにして、その自覚を確認する」という要求の仕方をする、…

青野順也(2007.10)終助詞「な・ね」と希望表現

青野順也(2007.10)「終助詞「な・ね」と希望表現」『国学院雑誌』108(10) 要点 上代の終助詞ナ・ネはナが先行し、意味分化はネの成立によるもの 前提 上代の希望表現ナ・ナム・ニ・ネのうち、ナ・ネについて考える 以下の定義付けに基づけば、ナは願望・勧…

細川英雄(1982.7)『天草版平家物語』の「な—そ」をめぐって

細川英雄(1982.7)「『天草版平家物語』の「な—そ」をめぐって」『国語学研究と資料』6 前提 禁止表現「ナーソ」は室町末から江戸初期にかけて口頭語から姿を消す 否定の要素が文頭に来る構造が極めて稀であるため その過渡期の資料として天草平家を見ると…

荻野千砂子(2007.7)授受動詞の視点の成立

荻野千砂子(2007.7)「授受動詞の視点の成立」『日本語の研究』3-3 要点 授受動詞の視点制約について、テ形補助動詞に生じた制約が本動詞に影響した可能性があることを示す 前提 敬語形・テ形補助を持つクレル・ヤル・モラウの3語について考える あなたが私…

小柳智一(1996.3)禁止と制止:上代の禁止表現について

小柳智一(1996.3)「禁止と制止:上代の禁止表現について」『国語学』184 要点 上代(・中古)の禁止について、 禁止する対象によって、禁止(事前阻止)、制止に分けられ、ナーソ・ナーソネ・ナーはその両方(その中間の抑止)を表すが、ーナは強い禁止の…

秋田陽哉(2015.5)源平盛衰記に見られる命令を表す「べし」

秋田陽哉(2015.5)「源平盛衰記に見られる命令を表す「べし」」松尾葦江『文化現象としての源平盛衰記』笠間書院 要点 ベシの命令の意について、以下の点を示す 中古にはほぼ見られないが、中世に多く見られるようになること 盛衰記には多く見られ、覚一本…

森勇太(2013.7)近世上方における連用形命令の成立:敬語から第三の命令形へ

森勇太(2013.7)「近世上方における連用形命令の成立:敬語から第三の命令形へ」『日本語の研究』9-3 要点 いわゆる連用形命令法の成立に、敬語助動詞「や」(<やれ)の異分析を想定する 従来説の問題 なされ省略説は、村上(2003)で提示されたものに加え…

村上謙(2003.4)近世後期上方における連用形命令法の出現について

村上謙(2003.4)「近世後期上方における連用形命令法の出現について」『国語学』54-2 要点 いわゆる連用形命令法の成立に、「一段動詞の命令形イ形」からの影響を想定する 前提 「早う行き」「さっさと帰り」のようないわゆる連用形命令法 これは宝暦以後の…

村上謙(2003.12)近世後期上方における連用形禁止法の出現について

村上謙(2003.12)「近世後期上方における連用形禁止法の出現について」『国語と国文学』80-12 要点 近世後期上方に見られる「なぶりな」(=なぶるな)のような連用形禁止法の出現について これを連用形接続のナではなく連用形命令法+ナと解釈し、 終助詞…

村上謙(2016.5)近世上方における二段活用の一段化とその後の展開

村上謙(2016.5)「近世上方における二段活用の一段化とその後の展開」『国語と国文学』93-5 要点 従来、二段活用の一段化はそれ自体が閉じた現象として捉えられがちだが、後期上方の種々の現象は二段活用の一段化の延長としてに位置付けられる 一段活用命令…

天野みどり(2017.11)受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ

天野みどり(2017.11)「受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ」天野みどり・早瀬尚子『構文の意味と拡がり』くろしお出版 要点 恩恵のテモラウがテモラワナイトの形で行為要求を表すことについて、構文の観点から考察 # テモラワナイト - 言い…

森勇太(2018.5)中世後期における依頼談話の構造:大蔵虎明本狂言における依頼

森勇太(2018.5)「中世後期における依頼談話の構造:大蔵虎明本狂言における依頼」高田博行・小野寺典子・青木博史『歴史語用論の方法』ひつじ書房 要点 虎明本における依頼の談話構造について、配慮表現史の観点から 同論文集所収川瀬論文と相補的 hjl.hat…

川瀬卓(2018.5)前置き表現から見た行為指示における配慮の歴史 ほか

川瀬卓(2018.5)「前置き表現から見た行為指示における配慮の歴史」高田博行・小野寺典子・青木博史『歴史語用論の方法』ひつじ書房 要点 行為指示場面における、定型的前置き表現 すみませんが、この書類に署名をお願いします。(恐縮・謝罪) お菓子を作…