吉田茂晃(2005.11)「"結び"の活用形について」『国語と国文学』82(11)
前提
- 吉田(2001, 2004)
- 品詞ごとの文終止能力の見取り図
弱活用 | 存在詞 | 形容詞 | |
---|---|---|---|
終止形 | 弱 | 強 | 強 |
連体形 | 強 | 強 | 弱 |
連体形係り結び
- すなわち、弱活用の連体形は文終止がむしろ中心的な機能(終止形は叙述形式で、消極的な終止)であるが、
- 係り結びの連体形もまた、積極的な文終止を目的とするものであると考える
- 例えば、「文意の流れを阻害する形で焦点を当てる」ゾによって唐突に切られた文を、より深く「切る」のが連体形である*1
- ナムもほぼ同様
- カ・ヤも、疑念の向けられた先がどこかを、文を積極的に終止することで示さなければならない
- 形容詞の場合、動詞のそれが類推的に用いられることで、文終止形式たり得たと考える
強活用動詞
- 強活用動詞は終止・連体形の差がないので、係助詞との呼応の頻度から見ると、
- 係助詞のない文終止は、弱活用よりも比率が高い
- 係助詞のある場合は逆に、弱活用の方が高い
- 強活用の終止・連体形には、弱活用の連体形が持つ文終止能力がないために、このようになるか
- ゾ・ナムは実質的な情報量の差がないので、使用率の低下が著しい
已然形終止
- 已然形終止が連体形終止よりも「強い」とされることがあるが、それでは係助詞のないコソ終止がほぼないということの説明ができない
- 副助詞的性質のあるコソによって他の事態との連携・対立が保証される場合に限って、已然形が文末形式足り得るのだと考える
- 已然形終止は、弱活用の方が強活用よりも優勢で、
- これも連体形と同様、いわゆる靡伏を持たない強活用が、結びとしては不十分であったということが想定される
雑記
- 飾り結び…飾り結びて…
*1:分からん(モヤモヤと分かる)