ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

活用

山口明穂(1969.3)中世文語における接続助詞「とも」

山口明穂(1969.3)「中世文語における接続助詞「とも」」『国語と国文学』46(3) 要点 トモの接続の様相を通して、文語行為について考えたい 詠歌大概註で宗祇は「ぬるとも」を「ぬるゝとも」に置き換えて説明する 当たり前のことのようであるが、宗祇自身の…

村上謙(2006.2)近世後期上方における一段化動詞について

村上謙(2006.2)「近世後期上方における一段化動詞について」『国語と国文学』83(2) 要点 近世後期上方で四段動詞を一段的に用いる現象について検討したい 未然:iンカの例が多く、否定は寛政以降にわずかに見られる 連用:連用形禁止法 終止連体:多くなく…

江口正弘(1990.12)天草版平家物語の動詞について:連体形の終止形化を中心に

江口正弘(1990.12)「天草版平家物語の動詞について:連体形の終止形化を中心に」『国文研究(熊本女子大学)』36 要点 標記の問題について、終止形と連体形の用法を以下のように分類する 終止形:A1 終止法 A2 ベシなどの助動詞に前接 A3 助詞トモ・ナ・ヤ…

彦坂佳宣(2020.3)一・二段活用のラ行五段化における使役形の動向

彦坂佳宣(2020.3)「一・二段活用のラ行五段化における使役形の動向」『国語語彙史の研究』39 要点 「他の活用とやや異なる面のある」使役形の五段化について考える 個別的要因(九州南部の音変化の激しさ、東北のレバの優勢さ、新潟のローの誘引など)の関…

小林隆(2004)動詞活用の歴史:言語体系の変遷(動詞活用における方言形成史のアウトライン)

小林隆(2004)「動詞活用の歴史:言語体系の変遷」『方言学的日本語史の方法』ひつじ書房 (小林隆2002「日本語方言の歴史」江端義夫編『朝倉日本語講座 10 方言』朝倉書店) 要点 これまでの3点をもとに、動詞活用の歴史を整理する 方言と活用の関係2種 A …

小林隆(2004)動詞活用の歴史:言語体系の変遷(一段活用動詞などに見られるラ行五段化傾向の概観)

小林隆(2004)「動詞活用の歴史:言語体系の変遷」『方言学的日本語史の方法』ひつじ書房 (小林隆1996「動詞活用におけるラ行五段化傾向の地理的分布」『東北大学文学部研究年報』45) 要点 オキル・ミル・アケル・ネル・スル・クル×否定・使役・意志・過…

小林隆(2004)動詞活用の歴史:言語体系の変遷(二段活用動詞などに見られる一段化傾向の概観)

小林隆(2004)「動詞活用の歴史:言語体系の変遷」『方言学的日本語史の方法』ひつじ書房 (小林隆1997「動詞活用における一段化傾向の地理的分布」加藤正信編『日本語の歴史地理構造』明治書院) 要点 方言における一段化の問題について考える ① いわゆる…

小林隆(2004)動詞活用の歴史:言語体系の変遷(動詞「起きる」を例にしたケーススタディ)

小林隆(2004)「動詞活用の歴史:言語体系の変遷」『方言学的日本語史の方法』ひつじ書房 (小林隆1994「活用の方言分布と歴史:「方言文法全国地図」の「起きる」について」『北海道方言研究会20周年記念論文集 ことばの世界』) 要点 日本語方言の活用と…

小西いずみ(2011.7)出雲方言における「一段動詞のラ行五段化」に関する覚書

小西いずみ(2011.7)「出雲方言における「一段動詞のラ行五段化」に関する覚書」『論叢 国語教育学』復刊2 要点 出雲方言におけるラ行五段化(見る:未然形ミラン、命令形ミレ)を記述すると、 否定・命令・使役・意志形と、とりたて否定形ミリャーシェン・…

吉田茂晃(2005.11)"結び"の活用形について

吉田茂晃(2005.11)「"結び"の活用形について」『国語と国文学』82(11) 前提 吉田(2001, 2004) 品詞ごとの文終止能力の見取り図 弱活用 存在詞 形容詞 終止形 弱 強 強 連体形 強 強 弱 連体形係り結び すなわち、弱活用の連体形は文終止がむしろ中心的な…

吉田茂晃(2004.3)文末時制助動詞の活用形について

吉田茂晃(2004.3)「文末時制助動詞の活用形について」『山辺道』48 前提 吉田(2001) 会話文における弱活用の連体形終止の用例は終止形のそれよりもむしろ多く、 連体形は叙述の流れを切るところにその本質がある 動詞述語文で係助詞と文末活用の関係が確…

吉田茂晃(2001.3)文末用言の活用形について

吉田茂晃(2001.3)「文末用言の活用形について」『山辺道』45 前提 係り結び研究は係り結び文だけを見ているが、用言述語全例を見て考えるべきではないか 弱活用、アリ、形容詞の終止・連体・已然形の例を考える 資料を以下の4類に分け、地の文・会話文に分…

小柳智一(2019.3)孤例の問題:規範と文法変化

小柳智一(2019.3)「孤例の問題:規範と文法変化」『国語学研究』58 前提 孤例について考える 体系における規範的形態でないものを亀井孝は「慣用」とするが、(規範もまた慣用の一種であるから)ここでは「非規範」として考える 規範と非規範は正誤の対立…

岡村弘樹(2019.8)上代における自他対応と上二段活用

岡村弘樹(2019.8)「上代における自他対応と上二段活用」『国語国文』88(8) 要点 他動詞派生をしてもよさそうな上二段動詞が自他対応に関わらないのは、四段の連用形と形態が類似していたから 前提 上二段活用は自動詞のうち、特に非対格動詞に偏る 上二段…

高山百合子(2015.8)佐賀方言における用言の「語幹化」

高山百合子(2015.8)「佐賀方言における用言の「語幹化」」『人間文化研究所年報(筑紫女学園)』26 要点 佐賀方言「ハヤカ」「リッパカ」など、カ語尾が語幹に取り込まれていることを指摘し、 これがラ行語末促音形にも見られることも示し、種々の現象を「…

彦坂佳宣(2019.3)カ行変格活用の全国分布とその解釈

彦坂佳宣(2019.3)「カ行変格活用の全国分布とその解釈」『国語語彙史の研究』38 要点 カ変の分布について以下の点を指摘 一段化したキの発現が人口減地方に見られ、規範が緩んだことによるものであること ベーへの接続の揺れが変種キの伸張を促したこと 広…

信太知子(2007.3)古代語終止形の機能:終止連体同形化と関連させて

信太知子(2007.3)「古代語終止形の機能:終止連体同形化と関連させて」『 神女大国文』18 要点 終止形連体形の合流について、連用終止同形の活用語が、その異形態化を目指したものであると考える 問題 終止形連用形が同形の語において、それがどちらである…

大木一夫(2018.10)中世後期日本語動詞形態小見

大木一夫(2018.10)「中世後期日本語動詞形態小見」青木博史・小柳智ー・吉田永弘編『日本語文法史研究 4』ひつじ書房 要点 虎明本の動詞の形態論的分析と、古代語との接続 大木(2010) 分析手順は大木(2010)と同様 すなわち、 動詞と非自立形式を分け、…

村上謙(2016.5)近世上方における二段活用の一段化とその後の展開

村上謙(2016.5)「近世上方における二段活用の一段化とその後の展開」『国語と国文学』93-5 要点 従来、二段活用の一段化はそれ自体が閉じた現象として捉えられがちだが、後期上方の種々の現象は二段活用の一段化の延長としてに位置付けられる 一段活用命令…

青木博史(2015.11)終止形・連体形の合流について

青木博史(2015.11)「終止形・連体形の合流について」秋元実治・青木博史・前田満編『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 終止形・連体形の合流に関して、中古は終止形→中世は連体形という見方をせず、文末準体句の広がりから見る 先行論 形態論的な…

衣畑智秀(2017.3)南琉球宮古方言の終止連体形:方言に見る活用形の合流

衣畑智秀(2017.3)「南琉球宮古方言の終止連体形:方言に見る活用形の合流」『日本語文法』17-1 要点 宮古諸方言における「書く」に、2形がある地域と、統一されている地域の事例を見ることで、活用形の合流(終止連体形と連用形の合流)が起こっていること…

ハイコ・ナロク(1998.10)日本語動詞の活用体系

ハイコ・ナロク(1998.10)「日本語動詞の活用体系」『日本語科学』4 要点 特定の理論に拠らず、検証可能な枠組みで動詞の活用・派生体系を分析 活用・派生の中心的要素が活用語尾と、活用語~であることを示す 活用語尾と派生接尾辞 まず、活用語尾と派生接尾…

増井典夫(2015.2)形容詞終止連体形の副詞的用法

増井典夫(2015.2)「形容詞終止連体形の副詞的用法」『近代語研究』18 要点 今で言う「すごいおいしい」の近世・近代におけるあり方 上方ではえらい→きつい 江戸・東京ではきつい→おそろしい→すごい この用法の語は、一時代に一語だけが要請される、とする…

諸星美智直(1992.4)近世武家社会におけるナ変動詞の五段化について

諸星美智直(1992.4)「近世武家社会におけるナ変動詞の五段化について」『国学院雑誌』93-04、(2004)『近世武家言葉の研究』清文堂 所収 ナ変・五段シリーズ、これにて一旦終了 hjl.hatenablog.com hjl.hatenablog.com hjl.hatenablog.com 要点 武士道と…

辛島美絵(1989.6)国語資料としての仮名文書:鎌倉時代の二段活用の一段化例、ナ変の四段化例等をめぐって

辛島美絵(1989.6)「国語資料としての仮名文書:鎌倉時代の二段活用の一段化例、ナ変の四段化例等をめぐって」『奥村三雄教授退官記念 国語学論叢』桜楓社、同(2003)『仮名文書の国語学的研究』清文堂所収を参照 引き続き、ナ変動詞の問題を取り上げる。 …

坂口至(2001.4)近世中期上方歌舞伎脚本資料に見えるナ変・下一段の四段化について

坂口至(2001.4)「近世中期上方歌舞伎脚本資料に見えるナ変・下一段の四段化について」迫野虔徳編『筑紫語学論叢 奥村三雄博士追悼記念論文集』風間書房 要点 タイトルまんま ナ変の四段化 当期のナ変の四段化率は低い*1 イヌの方がシヌよりも進んでいる 「…

山内洋一郎(2002.3)ナ変動詞の通時相:ナ変の四段化はなかった

山内洋一郎(2002.3)「ナ変動詞の通時相:ナ変の四段化はなかった」『国語語彙史の研究』21 概説書で「そしてナ変も四段化した」みたいに適当に説明されてることが多いので… 要点 ナ行変格活用の四段化(五段化)に関して、 ナ変の「死ぬ」が衰退してもとも…

岡村弘樹(2017.3)二段活用の一段化開始時期と下一段活用の成立:単音節動詞を中心に

岡村弘樹(2017.3)「二段活用の一段化開始時期と下一段活用の成立:単音節動詞を中心に」『訓点語と訓点資料』138 要点 単音節動詞の一段化が上二段活用と下二段活用で異なる理由に関して 旧上一段活用の存在を想定することにより、一段化が「一段活用と同…

大木一夫(2010.3)古代日本語動詞の活用体系 古代日本語動詞形態論・試論

大木一夫(2010.3)「古代日本語動詞の活用体系:古代日本語動詞形態論・試論」『東北大学文学研究科研究年報』59 要点 中古語動詞の活用について、形態論的な記述を行い、その体系では日本語史上の活用の変遷がどのように位置づけられるか述べる 手続きを示…

京健治(2015.3)シシ語尾形容詞と「不十分終止」

京健治(2015.3)「シシ語尾形容詞と「不十分終止」」『岡大国文論稿』43 要点 室町以降における、いわゆる「不十分終止」に関して、 耳も遠し、目も悪し、中にも、腰がかがうて、月日が、拝まれいで、是が迷惑な(狂言六義・腰折) 実盛心は猛けれども、老…