内間直仁(1985.3)「係り結びのかかりの弱まり:琉球方言の係り結びを中心に」『沖縄文化研究』11
要点
- 中央語の係り結び衰退の要因は明らかでないが、琉球語が示唆する点がある
- 琉球の活用形について2点、
- 奄美・沖縄では終止形、連体形、du係結形が概ね区別を保っている
- 先島では、連用形、終止形、連体形の区別はないが、m語尾系の終止形は区別される
- また、八重山石垣では連用形、与那国祖納では連体形が区別を保つ
- duのかかり方は、
- 奄美・沖縄では 1 du-du係結形、連体形、2 du-終止形
- 先島では、1 du-連体形(奄美・沖縄とは系統が異なる)、2 du-連体形以外
- この実態に基づいてdu助詞のかかりの弱まりについて考えると、
- 奄美・沖縄の場合、
- du係結形は通常ru語尾を取り、このru語尾は居る・あるのルに由来するので、この呼応関係は首肯できる
- ru語尾連体形以外にn語尾連体形にもかかるところがあり(古仁屋)、これは、du助詞のかかりの力の弱まりの流れに位置付けられ、
- 終止形にかかることもあるが、これもかかりの弱まりから説明される
- 先島ではduは連体形と呼応するが、先島の連体形は国語の連用形に対応するもので、連体形以外にかかることも併せて、奄美・沖縄よりもかかりの力が弱い
- gaのかかりは、
- ga-ga係結形(ra語尾)にかかり、このraは連体形とは対応しないが、
- これは未然形に対応するもの(katʃura < *kakiwora)で、
- 連体形に由来するものと考えられる(kakiworamu > kakiworan > *kakiwora)
- 末尾のムの脱落は、やはりgaのかかりの力が弱まったことによる
雑記