山口堯二(1991.6)「推量体系の史的変容」『国語学』165
要点
- ム系の推量辞の歴史について考える
- 古代語の推量辞は、「現実のありようをなぞる」形で事態の現実性を識別する、「現実密着」型
- ムード表示を担うだけでなく、むしろ対象のありようの表示をする機能を持つことが、連体・準体用法を持つことにも現れる
- 主体のムード表示は推量辞そのものの働きではなく、文末の機能に依存してのことである
- 中世は、時制的分担によって事態の現実性を捨象し、想定の作用度に応じて事態を分担する「想定分別」型
- ム・ラム・ケムという時制の分担が、ウ・ウズ(ラウ)・ツラウに解消・再編される
- 例えばムード表示の機能において、ラウはウより強く、ベシはそれらよりも弱い(客観的)
- 近現代語は、ダロウが推量、ウが意志を分担するような、ムード識別型
雑記
- 学生に「90年代の論文だと「古いな~」って思います」って言われて、「まぢ!?」って言っちゃった
- でも確かに、「その事柄に時制の対立を許すような芸当がウによって不可能」とか言わんもんな~と思う