ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

山田潔(2020.5)『玉塵抄』における「らう・つらう・うずらう」の用法

山田潔(2020.5)「『玉塵抄』における「らう・つらう・うずらう」の用法」『国学院雑誌』121(5)

要点

  • 標題形式について、以下の3点を考える
    • ツラウが多くコソの結びとして用いられること
    • ラウの上接語がアルに偏ること
    • ウズラウがコソ・ゾと呼応せずにカと呼応すること
  • ツラウについて、
    • ツラウはツラムの「近い過去の推量」を引き継ぎつつ、広義の過去推量を担う
    • 以下の諸点は、ツラウがケムと異なり、「言語主体にとって確信的と言い得る推量」を表すことを示す
      • コソの結びになることが多い
      • 文脈上推量の根拠を明示する
      • 基本的に疑問詞を伴わない(伴う場合も、主体の「ことだろう」という詠嘆を表す)
  • ラウについて、
    • ラウに上接するアルは「既にそうである」もしくは「そのような状態にある」ことを示すものであり、
      • 断定デアル、指示副詞アル、形容詞アル、Vテアル
    • ラウそのものが現在推量を表すのではなく、上接するアルが現在の状態を表し、ラウがそのことを推量するものと考えられる
      • ウ・ウズは未来の事態を推量する(此女人ハ富貴ニアラウ)
  • ウズラウについて、
    • カと呼応するのは、「推量というよりは疑問の意を表す」ためであり、
    • ツラウ・ラウと異なり、未然の事態の推量を表す

雑記

  • 一旦おしま~い