菅原範夫(1992.3)「「うず」の消滅過程」『小林芳規博士退官記念国語学論集』汲古書院
- 標題の問題について、中世後期から近世前期のウズの消滅過程について考える
- 天草平家と原拠本の比較に基づくと、
- 終止法では「「べし」の表現していた意味上の空隙を「うず」が埋めている」が、
- 連体形においてはベシ→ウのほうがベシ→ウズよりも多い
- 疑問文や、ベキ→ウ様などの場合に偏り、「無秩序に「う」に言い換えられているものではない」
- 丁寧表現(謙譲語・配慮場面)では逆にム→ウズが多い
- 古狂言台本ではウに対してウズが著しく少ないことが指摘されており(蜂谷1971)、文語ではベシ、口語ではウが主流になり、ウズは姿を消していくことになる
- 版本狂言記では、
- 狂言記ではウズは名告り、丁寧表現や固定的な表現に偏る
- 『続』『拾遺』ではさらに用例数が減り、しかも位相も偏る
- 以上の過程で、ウズは、ベシの領域を担うことをやめて、丁寧表現に限定されていく