木下書子(1997.2)係助詞「なむ」の表現性:『源氏物語』における結びの省略例を通して
木下書子(1997.2)「係助詞「なむ」の表現性:『源氏物語』における結びの省略例を通して」『国語国文学研究』32
要点
- ナムの衰退過程について考えたい
- ナムに指摘される特徴3点に基づいて、結びの省略例を中心に考えると、
- 結びの省略例が多い
- 省略の場合にテナムの例が多い
- テ・バを承けることがゾ・コソより多い
- Vテナムは、
- 前件と後件を軽い因果関係として繋ぐものが見られ、
- 「聞き手の気分を害さないよう気を配る」表現(言い訳)であると記述できる
- このときに後件が省略されるのは、言うのが憚られるため
- この憚りの意は、言いさしによってではなく、ナムによって加味されていると考えられる
- Vバナムは、バコソと比較すると「申し訳無さ」がなく(苛立った語感が伴う)
- 形容詞連用形やテだけで言いさす例もまた、「何の憚りも感じてはいない場合」に限られる
雑記
- 日本語学会、なんか全体的によかったね