亀井裕子(2003.12)近松浄瑠璃における接尾語「さ」
亀井裕子(2003.12)「近松浄瑠璃における接尾語「さ」」『国語研究』67
要点
- 標記の問題について、サを以下の用法に分けて考える
- 文末のサ:詠嘆
- 文中のサ:
- 名詞としての用法
- 原因・理由を表すサニ
- 文末のサは、詠嘆の他に、詠嘆を表しながら「行為に至った原因・理由を説明する」場合がある
- 名詞としての性格を強く持つ詠嘆の場合と、
- 用言性を保持している例の多い理由の場合に分かれる
- 文中のサは、
- 普通に名詞として使われるサと、
- 理由を表すサニがあり、史記抄と比べるとサニが連用修飾語・目的語を取りにくくなるという傾向を示す
- その他、~サユヱや、サ単独で理由を表す例もある
- 全体として、
- 理由表現にかかわる場合にはサニ以外でも用言的性格を保持しており、名詞的性格に向かうサの変遷とは逆の傾向がある
- 詠嘆が多いことや文末のサで理由を表すことなども含めて、この傾向は浄瑠璃の語り物の性格によるところが大きい
雑記
- さらば10月