竹内史郎(2005.1)サニ構文の成立・展開と助詞サニについて
竹内史郎(2005.1)「サニ構文の成立・展開と助詞サニについて」『日本語の研究』1(1)
要点
- サニ構文の先行論3点、
- a 中古のサニは形容詞語幹+サ+ニ
- b 室町期は単一の形態素サニ
- c a,bより、[[…ノ~サ]ニ]→[[…ガ~]サニ]の変化と記述できる
- このうち a は「人目もいとつつましさに」(源氏)のような例があるため問題を含み、 c の記述も改める余地がある
- 成立当初のサニは、「名詞節+主節の背景を提示する助詞ニ」(cf. キニ・クニ)と説明でき、別個の形態素の連続と考えられる
- 以下の分類を設けると、10C以前のサニ構文はサニ節が「内的徴証」で、主節が「有意志文」(あやしさによめる)のものに限られる
- 形容詞文の意味類型→内的徴証(犬が怖い)/外的徴証(空が青い)
- 動詞文の意味類型→有意志文/無意志文 +非動詞文
- これは、内的徴証―有意志文という対応によって、「形容詞述語で表される内的徴証を起因とする意志的な事態」という因果関係をサニが担っていたことを意味する
- 11C以降、他のタイプに拡張し、15C以降には外的徴証が内的徴証に拮抗する
- 内的徴証・無意志(心細さに涙もこぼれぬる)、内的徴証・非動詞(つつましさにえ参らぬ)
- 外的徴証・有意志(月の影のはしたなさにすべり入る)など
- 形容動詞語幹下接の例もある
- 「外的徴証―有意志文」の定着や、山口・愛知でサニが接続助詞となっていることをもとに、この15Cの段階においてサニが接続助詞化を遂げたと考える
- サニの衰退は、形容詞語化・形容動詞語幹が述語として機能するという特殊なあり方からすれば必然であったのではないか
雑記
- 働きたくね~まじで