ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

京健治(2001.3)「ウズ」「ウズル」の衰退に関する一考察

京健治(2001.3)「「ウズ」「ウズル」の衰退に関する一考察」『文献探究』39

要点

  • 近世期に急速に衰退するウズ・ウズルについて考える
  • 大まかな流れ、
    • ウ優勢の流れにあって、ウズ・ウズルが衰退する
    • その中で、ウズル優勢からウズ優勢へと逆転していく
  • この流れの中で、ウズは終止法に偏って用いられるが、このときのウズ・ウズルの違いは以下のようにまとめられる
    • ウズ:対句的表現や中止法(そこで文が終わらず、次に続いていく気息が感じられる*1
    • ウズル:発言の終わりにあることが多い
  • 近世初期において、ウズがウズルに比して遅くまで使われたのは、この対句的なウズが残ったからであろう*2
  • ただし、これもマイ出自の接続助詞シがウに接続するようになったために*3、存在意義をなくしたのだろうと考えられる

雑記

  • 避けてきたけど、やっぱりあんまり好ましくないと思う

メモ

  • 不十分終止とシを表裏的な関係で捉えるとき、タシとか形容詞とか、シにつくのが遅いものがシに付く前に、不十分終止(による並列)が使われなくなることをどう説明するかが問題になる(因果関係を持つわけではなく、疑似相関だと思う)

*1:さすがにその根拠が欲しい

*2:蜂谷1971

*3:鈴木1990を引くべきところだろうと思う