山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(1)推量の助動詞「う」「うず」「うずる」の一考察:キリシタン資料における実態
山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1971「推量の助動詞「う」「うず」「うずる」の一考察:キリシタン資料における実態」『学芸国語国文学』7
要点
- キリシタン資料におけるウ・ウズについての観察4点
- 1 ウは疑問詞と呼応し、単純な推量を表すのに対し、ウズは確かな推量および近接した未来を表す
- ウズはスデニ・ヤガテなどの副詞との呼応が多く(ウトスを語源とすることに因る)、推量は根拠を伴う
- また、疑問詞と呼応する場合、ウズは専ら反語を表す
- 2 ウは願望の意味を帯びた意志を表すのに対し、ウズは当為の意味を帯びた意志を表す
- 命令・勧誘もウが担う、このことはウはウズよりも願望を表す機能が強いためである*1
- 意志文の場合、前提や理由が示される文ではウズが多く用いられる
- 「ウの表わす決意は情意的であるのに対し、ウズのそれは理性的である」
- 3 ウズは意志推量の他に、当然・適当・予定・可能・命令を表し、ほぼベシの意味領域を網羅する
- 連体修飾などもウズのほうが一般的
- 4 文末終止において、ウズはウズルに対して(丁寧体ではない)普通体である
- エソポの「下心」にはウズのみが現れ、ウズルは現れない
記事まとめ
雑記
- いろいろなウズのいらすとを用意しています
*1:直接願望を表すわけではないだろうし、なんだろう