ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

常盤智子(2013.10)富田源太郎著『英和婦人用会話』にみられる助動詞「ウ」+終助詞「ワ」について

常盤智子(2013.10)「富田源太郎著『英和婦人用会話』にみられる助動詞「ウ」+終助詞「ワ」について」『近代語研究17』武蔵野書院.

要点

  • 富田源太郎(1867?-1917)による英学会話書『英和婦人用会話』(1914刊)は、当時の口頭語が反映されるものと見られるもので、終助詞の使用が豊富である。
  • その中に、現代東京語では不自然に思われるウ+ワの承接例があり、
    • 少々休んでまいりませうわ。/ Yes, I would like a few minutes' rest; ...
    • では、わたしも一つ買はうわ / Then, I'll have one, too.
  • ウワに限らず、" 'll " と対応する日本語文に注目すると、以下の4類に整理できる。
    • A -aウワ / B -aウ / C -uワ / D -u
  • Aは江戸時代にも例があるが、これは、当時はまだ、ウ(意志)・ダロウ(推量)の分化が完了していないことによるのではないか?
    • ウが意志に特化すると、ワの機能と重複が起こり、承接が許容されなくなるのではないか?と考える*1

雑記

  • Slackが何かに参加するたびに勝手にメール送ってくるようになるの許せん(チェック外してるのに)

*1:機能ごとに承接の分布が異なるのって普通に有り得るだろうし、やや現代語の目から見た説明っぽくは感じる