八坂尚美(2022.3)『虎明本狂言』と『狂言六義』における行為要求表現の対照
八坂尚美(2022.3)「『虎明本狂言』と『狂言六義』における行為要求表現の対照」『論究日本近代語第2集』勉誠出版.
要点
- 虎明本と天理本(狂言六義)に現れる行為要求表現について、対応する箇所を持つ例を、直接的か(命令形)間接的か(疑問、引用…)によって分類すると、以下の通り
- 直接か間接かという全体的な傾向について:
- どちらも直接的行為要求表現が優勢だが、
- 虎明本が直接的であるのに対し天理本が間接的である例が一定数見られる
- 先神酒をくれい(虎明本・福の神)/神酒は勧めぬか*1(天理本)
- 対応箇所のあるものについて:
- どちらも直接的である場合、虎明本はシメ、天理本はオ~ヤレが最も多く、これは「流派らしさ」のための選択である
- 間接的行為要求においては、虎明本では希望・引用の割合が多く、六義では希望・述部の省略が多い(「虎明本の方が説明的である」)
- こうした差異が生まれた理由については、大蔵流と和泉流の客層の違いに求められる
雑記
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*1:全然関係ないけど、こういう否定疑問による勧めのときに、現代語であれば対格項を取りそうなところがハになるのってなんでなんだろね