高山善行(1999)連体ナリの已然形
高山善行(1999)「連体ナリの已然形」『国語語彙史の研究18』和泉書院.
要点
- 中古の連体ナリには、連体ナレド・ナレバとしての、已然形として積極的に認められる例が(ほぼ)ない
- ナレバには、連体ナリと確定できる例がなく、同形ナリ(終止ナリと区別のつかないナリ)の例しかない
- その例はいずれも、平安初期の例が少なく、
- はっきり伝聞・推定の意で解釈できる(連体ナリで解釈しなければならない例はない)
- ナレドの場合も同様である
- ナレバには、連体ナリと確定できる例がなく、同形ナリ(終止ナリと区別のつかないナリ)の例しかない
- 已然形の少なさは、(連体形・未然形の接続法の例が少ないこととあわせて、)連体ナリの文中用法が不活発であることを意味する
- 連体ナリには、係り結び、連体法、準体法に使われる連体形の例がなく、
- 未然形のナラバの例もほとんどない
- これは、現代語のノダが文中用法を持つのとは大きく異なる点である
雑記
- 何年かかったんじゃろ、これ と目次を見て思う