高山善行(1994.8)〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について
高山善行(1994.8)「〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について」『国語語彙史の研究14』和泉書院.
要点
- 中古のNナリとV連体ナリは、以下の差異を持つ
分析
- 下接語について
- Vナリは否定と結びつきにくい:ニアリが連体ナリの役割を果たしていると見られる
- Vナリにマシが付かない:Vナリが「現実性の強いもので、非現実性の強いマシと結びつかない」、Nナリはモードに関してニュートラル
- Vナリにラムが付かない:ラムにVナリ相当の機能が備わっていると考える
- Vナリに終助詞が付かない理由はよくわからない
- 従属句中の生起について
- Nナリは全体的に従属句に用いられやすいが、Vナリはほとんど終止法で用いられる
- 係助詞の結びについて、
- Vナリは係助詞の結びにならない:Nナリが構文的単位として形容動詞と近似することを意味し、
- Vナリは、ハの結びにはなり、[―ハ―ナリ]という分節結合を行う。[―ハ―ナリ]は係り結びのプロトタイプだと考えられ、Vナリは「文構成に直接的に関与する構文的単位として理解される」
- 上をまとめると(表5)、Nナリは句構成レベルで働き、Nナリは文構成レベルで働く、と位置付けられる
雑記
- さすがにナリのいらすと尽きるだろ