矢島正浩(1989.1)近松世話物における断定ナリ終止形残存の意義
矢島正浩(1989.1)「近松世話物における断定ナリ終止形残存の意義」『文芸研究 文芸・言語・思想』120.
要点
- 旧形式ナリを以下のように分類すると、
- A 文を完結させ得ない(いわゆる並列)
- B 文を完結させ得る
- イ 話手の判断の加わる余地無し
- ロ 話手の判断の加わる余地有り
- Bのナリは、〈中止め〉〈通知〉〈敬意〉〈慣用句〉〈特殊場面〉〈道理〉などの領域に偏って残存することが分かる
- これは、ニアリ系が持つ客観的な陳述性を引き継ぐものであり、一方のジャは、話者の判断を色濃く反映する点で、やはりニテアリ系を引き継ぐ
- このことを踏まえて、Aともあわせて用法間の関係性を見ると、「通常の位置関係にある聞手に自分の判断・意志を直接的に伝えて反応を求める文の述部には、ナリは用いられない」とまとめることができる
雑記
- 某ンゴ学会の中高生のやつ、安定してないポストの人にそれをやらせるのはちょっと違うんじゃない?って思っちゃうな~(そういう経験が活きるかもという「御配慮」なんだろうか?)